内容説明
長い乱世に終わりを告げた矢先に、朝鮮出兵を目論む秀吉。欲望のまま権力をふるうその姿を見た秀長は、死の床から遺言を残す。兄、秀吉を殺してでも、真に平和な世を築くために―。地位も名誉も欲せず、天下泰平の夢を追い続けた秀長の生涯を描く傑作歴史小説。
著者等紹介
福永英樹[フクナガヒデキ]
1963年生まれ。兵庫県出身。神奈川大学卒業後、民間企業において主に人事・総務関連業務に従事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ren5000
8
強烈な個性を持つ兄秀吉の補佐役として名高い秀長の物語。この人のことを悪く書かれた本はないぶん、地味で堅実なので小説にはしにくい人なんでしょうね。面白く読ませていただきましたが、ちょっと美化しすぎな気もする。いまやってるNHKの大河ドラマの官兵衛の役割を秀長がやった感じ?2014/09/23
Ryuji
5
★★★★☆戦国期のどんな小説を読んでも悪く書かれない武将がいます。この本の主人公である豊臣秀長もその一人です(というよりそういう人物はほとんどいない)。兄、秀吉の補佐役に徹しながらも、自分が武将に何故なったのかという志を貫く姿がとてもよく書かれていると思います。晩年、秀吉・秀長兄弟がここまで対立したということを描いた小説は珍しいですが、秀長死後の歴史を見ると結局こういうことだったのかなと思わせます。個人的に藤堂高虎という武将が好きなので、準主役級で出てきたのがさらに嬉しかった。2013/09/04
いちろう
4
堺屋太一の秀長が、心に響く 内容がかなり違うのは、何故だ? 謎な秀長ってことですな 2024/03/12
BIN
3
民のためにという志を生涯持ち続けた宰相、豊臣秀長を描いた作品。終盤までは秀吉や半兵衛のいいところを全部奪うかのような活躍ぶりに加え、生来の人当たりの良さによる徳で誰からも好かれる姿はやりすぎではないかと思えてくる。しかし終盤は政治政策で自分のエゴのために人を顧みない秀吉と真っ向から対立し、独自の金融投資策を画策し朝鮮出兵を止めようとするのは面白い。また、前野長康や藤堂高虎との友情は素晴らしい。最後に仁王が出てくるのはグッときた。いい作品でした。2013/07/07
しぇるぱ
3
秀吉の弟の秀長を題材にした小説は見たことがありません。異父弟で、子供のころから兄弟は目指すところが違っていました。兄秀吉は、ええべべを来てうまいものを食い女に囲まれる、そんな暮らしを望んでいました。弟秀長は、百姓が心配なく安気に暮らせるようになればええなぁ、そんな暮らしを望んでいました。武将になって、領土拡張を専一に求める秀吉。いつかは領土は尽きる、領土ではなく銭を駆使する暮らしに変えるべきと秀長。朝鮮出兵でふたりは対立します。これは作者の初作かもしれません。他の作品の紹介がない。まだこれ1作かもしれない2013/03/25