内容説明
うつ病になるのはあなたのせいではない。これはつくられた「病い」だった―。薬と休養を勧めるだけのうつ病対策では不十分。現役精神科医が、うつ病診療の問題点と解決策を書き尽くす。
目次
第1章 うつ病患者が増えている
第2章 なぜ1999年からうつ病患者が増えたのか
第3章 なぜ「SSRI現象」は起きるのか
第4章 「SSRI現象」によるうつ病診療への影響
第5章 抗うつ薬の有効性について
第6章 増え続けるメンタル休職への取り組み
著者等紹介
冨高辰一郎[トミタカシンイチロウ]
1963年大分県生まれ。九州大学医学部卒。内科研修後、東京女子医大病院精神科にて精神科研修。日本学術振興会在外特別研究員としてカリフォルニア大学サンフランシスコ校にて薬理研究。精神科病院勤務、東京女子医科大学精神科講師を経て、現在パナソニック健康保険組合東京健康管理センターメンタルヘルス科部長。専門は、産業精神医学、精神薬理、性格学、医療情報(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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okanotomokazu
6
うつ病になる人が急速に増えている。世の中には重度のうつ病の人もいることは分かっているが、軽度のうつ病の人と会うと、どうしても「病は気から」という言葉を思い出してしまう。 しかし、本書を読むと、この感覚があながち間違ったものではなかったことがわかる。 なぜなら、いまのうつ病ブームには仕掛け人がいるからだ。その仕掛け人とは製薬会社。SSRIという抗うつ薬を売るために莫大な費用をかけてキャンペーンを行う。このキャンペーンは医者や官庁をも巻き込み、知らず知らずのうちに私たちの認識を変えてしまう。 2012/04/11
こたちゅう
2
身近な問題なので、余計ショックを受けた。そうか、薬を飲んでも病気が治らないかもしれないのか。本当は薬を飲まなくても治るものなのか。しかし、苦しいことには変わりななく、じゃあどうすればいいのか、という気になる。認知療法や臨床心理士と言われても身近に無いし。今ひとつ救いはないものの、書かれている内容は斬新で、データに基づいたものであり、両著だと思う。もっと注目されるべき本。2012/08/18
mimi
2
SSRIが認可された1999年を境に、うつ病の人が急増した。先進各国でも、SSRIが認可されたのを境に同様の現象がおきている。薬価の高く収益の柱になる薬を大々的にプロモーションしたのが原因ではないか。受診者が増えるのは急性期の治療にはよいと評価できるが、現状回復期の患者のサポートが回っておらず患者が増える一方になっている。2011/06/08
コジターレ
1
読メ登録前に読了。結構衝撃的なデータもあり、大変興味深い。うつ病について関心がある人は読む価値あり。
Risa Shimowada
1
数字、事実ベースでの考察で非常に説得力があった。 SSRIと製薬会社の啓もう活動によりうつ病が増えているという説明。うつ病は自然に治るケースも多く、薬効の確認が難しいなど、今後の計画を考える上で非常に納得が行き、とても参考になる。2014/09/06