内容説明
芸術上の『則天去私』から人生観の『則天去私』へのあゆみ。そこに良寛の思想と生き様があった。夏目漱石『則天去私』研究に欠かせない一書。
目次
序章 「漱石の『則天去私』と良寛」
第1章 良寛の生き方(良寛略伝;良寛の父母;栄蔵という人;栄蔵の家出;出家から帰郷まで;良寛の悟り;帰郷後の生活)
第2章 良寛と漱石(良寛と漱石の考え方の相似点;漱石と良寛の書、良寛詩集)
第3章 晩年の漱石―漱石の「則天去私」(いろいろな「則天去私」論;「則天去私」とは何か?;文学の方法としての「則天去私」;「悟りの境地」としての「則天去私」)
著者等紹介
安田未知夫[ヤスダミチオ]
本名・安田道義。1936年生まれ。1960年東京大学法学部卒業。会社、法律事務所勤務の傍ら漱石の研究に専念。1988年「漱石と越後・新潟―ゆかりの人びと―」(新潟日報事業社刊)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さっちも
14
漱石は、上野の博物館を訪れたさいに良寛の六曲屏風を観て、ガラスにひたいを押しつけながら「あれこそ頭が下がる」と感嘆していたり。晩年、良寛の書を縁故の人間に探してもらうために「良寛はしきりに欲しいのです。とても手に入りませんか」と催促したり。書が手に入ったお礼の手紙には「良寛を得る喜びに比べれば悪筆で恥をさらす位はいくらでも辛抱仕る可く候」「十五円だろうと百円だろうと千円万円だろうと、もともと買手の購買力と書いたさの程度一つに極り候もの」とイメージにない喜びとテンションの高まりを書き記してる。2019/01/23