感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
吉田あや
57
世界中で若者の反乱が同時多発的に起きていた時代背景の中、日本でも学生運動が過激さを増し赤軍派や革命左派を生み出していった。それぞれの正義が起点にあったとしても、銀行強盗で資金の調達を行い、武器となる銃やダイナマイトを違法に強奪し、人を殺すことも大義の為と身勝手な自由を求め突き進んでいく集団は異様でしかなく、獰猛さに身を委ねる幼稚さ故の行動としか感じられない。しかし日本中に貼られた手配書のおかげで闘争は愚か外に出ることも儘ならず、身の置き場を転々とすることに消耗するだけの毎日に疲れ果て、(⇒)2023/10/04
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46
🌟🌟🌟🌟🌟。連合赤軍あさま山荘事件までを描いた物語。前からちゃんと読みたいと思っていてやっと第1巻を手に入れた。分かってはいたけど情報量が多過ぎて一度読んだだけではよく解らない。再読していきながら少しずつ咀嚼していきたい。まぁでもこの連中の目指す世の中よりは今の方がマシなので国家転覆なんかならなくて本当に良かった。でも矛盾してるんだけどこの世界観、好きなんだよね。2023/10/19
sayan
20
「なぜ(押井守)」ではじまる疑問形の帯文言に、映画「三島・東大全共闘(2020)」で浮かんだ「なぜ」が重なる。疑問の先を見通す手掛かりに、「言葉というものは、まだここでなにものかの有効性があるかもしれない、ないかもしれない、試しに来てみよう」と、三島は討論会に参加(行く)した理由を冒頭で言う。善意、独善、当事者に対する分析は多々あるも、何かクリアではない。山本直樹氏のアプローチは淡々とする、学生が口にする「革命」という言葉に踊り、信じ、実現を目指し「参加」する学生の無機質な表情描写とのギャップが生々しい。2023/06/23
秋 眉雄
13
If I were you, I'd be in a band, not in Red.2023/08/05
ドント
5
1970年代、様々にとんでもないことを行った社会主義活動家グループ「連合赤軍(本作中では別名称)」を描く力作の改訂版。全4巻予定、この1巻だけでも740頁。ゆるりゆるりと平たい石を積むように、慎重に、丁寧に、人間たちとその関係、徐々に追い詰められ、行き詰まり、煮詰まっていく様が描かれる。そしてカウントダウン、数字。語り口は乾いているのに冷たくはない。凄い。概要だけだと「何故こんなことが」としか思えぬ史実が、「しかしそれはあった、このようにして」と突きつけられてくる。しかしここはまだ入り口でしかないのだ。2022/12/09