内容説明
集団お見合いを成功へと導いた父、とあるオンラインゲームで「神」と崇められる夫、小学生を出待ちしてお手玉を配る祖母、40万円の詐欺に遭う妻(こだま)…“おしまいの地”で暮らす人たちは、一生懸命だけど何かがおかしい。『第34回講談社エッセイ賞』受賞作家こだまの日々の生活を切り取った、受賞後初となるエッセイ集。
目次
面白くない人
先生と呼ばれる人たち
逃走する人
小さな教会
ちょうどよくなる
その辺に落ちている言葉
嘘つきの血
九月十三日
崖の上で踊る
錆び星
おそろい
メルヘンを追って
ネット大喜利という救い
猫がくれた石
転げ落ちた先も悪くない
探検は続く
郷愁の回収
珍しい苗字の男の子
著者等紹介
こだま[コダマ]
主婦。2017年、『夫のちんぽが入らない』でデビュー。2018年、エッセイ集『ここは、おしまいの地』で第34回講談社エッセイ賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
215
こだま、3作(全作?)目です。相変わらずのエッセイですが、今回は家族の話題が多めでした。メルヘンに騙された詐欺事件が面白かった。おしまいの地に棲む著者が、さいたまスーパーアリーナのSEKAI NO OWARIのLIVEに出没しているとは思いませんでした🎶 挿入されている写真が意味不明です(笑) https://www.ohtabooks.com/sp/oshimai2/ 2020/11/03
よつば🍀
110
こだまさんのエッセイを読むのは初めてだけど、読む毎にこだまさんをもっと知りたくなり、こだまさんをもっと好きになる。パニック障害を持つ夫に突如襲い掛かった奇病、こだまさん自身も鬱やゆっくり進行する病と向き合う日々、身体も心も途轍もなく苦しいだろうに、俯瞰して冷静に見つめ、ヘタするとそれさえもユーモアに転じようとするこだまさんに強さと優しさを感じる。生き辛さを感じ時々堪らない気持ちになるけれど、このエッセイを読むと無理しなくて良い、そのままで良いと優しく背中を押して貰えるようだ。こだまさんの包容力に救われる。2020/10/19
おつぼねー
90
他人から見たら多分「不幸」だと思える身の上のオンパレード。でもほっといてくれ!だね。マイナスをプラスに捉えるこだまさんには救われます。ダンナさんのサッパリ感もいい。ところで、まだご家族に作家稼業がバレてないのでしょうか?2021/06/07
青乃108号
89
折角の休日の朝に「何もかも憂鬱な夜に」というヘビーな本を読んでしまった俺が、きっと憂鬱な気分になるに違いないから、とカンフル剤として用意しておいたのが本作。偶然だが著者のこだま氏も俺と同じメンタル系の病気を患っているらしい。締め切りの恐怖におしつぶされそうになりながら、必死に執筆された作品群なのだろうが、やはり彼女の語り口はいつも優しく、次々披露されるエピソードの数々は今朝から憂鬱になって困っていた俺のこころに良く効いてくれた。2021/09/07
美登利
86
こだまさん、初読み。話題になった私小説は結局読まずじまいですが、あらすじなどはネットで拝見。教師だったことも知っていましたが、その後難病を患われ、最近は鬱病になったと知り、またご夫婦共にここに来るまで大変だったんだなと思うと、色んな形の夫婦があっても良いし、上手く補っていけるのなら周りが言うことでは無いと感じます。こだまさんの鬱症状が昔の自分と重なったところもあり、ああ分かるなと思うところが多かったです。エッセイ賞を受賞された前作を読んでみたいと思います。 2020/11/15