内容説明
アダルトメディアが現実を浸食していることを誰も知らない。インターネットはセックスをとりまく環境を根底から変えてしまった。いまや体験のない若い年代までもがAVでやっていることを当たり前と思うようになっている。「美少女」「熟女」「素人」などをキーにして、90年代には「痴女」、ゼロ年代にはついに「男の娘」を誕生させた。「草食系男子」やセックスしない男女が話題になる中、はじめてアダルトメディアの歴史を解き明かし、今現在進行しているセックスの状況をつぶさに描き出す革命的論考。
目次
はじめに 痴女を産んだのは誰か?
第1章 変質する美少女像
第2章 発見された熟女
第3章 素人という幻想
第4章 痴女は女が作った
第5章 男の娘の時代
おわりに 男たちの見果てぬ夢
著者等紹介
安田理央[ヤスダリオ]
1967年埼玉県生まれ。ライター、アダルトメディア研究家。美学校考現学研究室(講師=赤瀬川原平)卒。主にアダルトテーマ全般を中心に執筆。特にエロとデジタルメディアとの関わりに注目している。AV監督としても活動し、2011年には、AV30周年を記念し、40社以上のメーカーが参加するプロジェクト「AV30」の監修者を務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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竹田の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
fwhd8325
42
痴女で想像すること。著書にも登場する豊丸さんは、そのイメージに見事にはまる。しかし、こうして表に出すことを是とする時代は、それでなかなか難しい。淫らな姿を思考する面と現実を目の当たりにすることは大きな違いがあると思う。例えば、保健室で先生と二人っきりになる場面だったり、友人の家で友人のお姉さんが妙にエッチだったり。妄想の行き着く先がAVであることは否定しないけれど、文学にもメディアとしてその功績はあったと思う。本編は250ページ程度だけれど、このボリュームは評価されていいんだと思います。2018/06/26
きいち
32
自分たちの場所を時間的に位置づけていくことを「教養」だとするなら、この本はまさに教養そのもの。何といっても、享受者を想像してAVという商品が創られ、受け入れられ、そのことが次の商品を作るという「再帰性」が丁寧に跡付けていくのだから。◇タイトルとされた「痴女」はさらに、ただ対象であった女性の欲望が持ち込まれ、それが商品となり、また女性に影響を与え…という何重にも重なった再帰性の表れ。まさに現代、すごい。◇同年代だが僕はあまりAVにはお世話にならなかったので懐かしさ度外視して読め、おかげでかなり面白かった。 2017/03/13
ココロココ
30
【猫町倶楽部・名古屋アウトプット勉強会の課題本・猫町UGとのコラボ】課題本でなかったら、きっと手に取ることがなかったであろう本。アダルトメディアの変遷が書かれている。日本の文化の一部分と思えば納得。女性は、AVにお金を出さない、というところは、確かにそうかもしれない。でも、イケメン男優にならお金を出す。そうかもしれんなぁ、と思った。AVであろうがそうでなかろうが、イケメンにはお金出すよ。2016/05/18
tom
21
この本、存外面白い。AVを見る側の関心の対象は、10年単位で変化していくらしい。そのためには、売る側の仕掛けが一生懸命にあるわけだけど、仕掛けたからといって、うまくいくものでもないらしい。双方の共同作業らしいのだけど、その流れは、意外に流動的なのだ。性を追うもの、追っかけるもの、切磋琢磨という雰囲気。その流れのまっただ中に居た人だから、書くことができた本。2016/11/20
わたなべよしお
21
高橋源一郎が「教科書にして学校で」と言っているので期待したが、そこまでのレベルじゃないと思う。内容はアダルトビデオの歴史を単に概観したにとどまる。それはそれで結構、面白いのだけれど、「それは分かるが、だから何なの?」と突っ込みたくなる。教科書にするなら、日本人の性意識の反映やら、男女関係への影響、社会や時代との関係性等々も含めて分析、言及してほしかつた。基本的にアダルトビデオという世界から一歩も出ていないのは残念だった。2016/05/01