内容説明
「日本を変えるにはテロしかない」として三島は自決した。それはテロに被われる21世紀を正しく予見していた。村上春樹、村上龍、町田康、阿部和重…、文学者たちはなぜテロを描いてきたのか。
目次
プロローグ テロのスパイラル―三島vsミシェル・ウエルベック
第1章 『人斬り』vs『大菩薩峠』、三島vs川端康成―テロ第一世代の文学史
第2章 三島vs村上春樹、桐野夏生、高村薫、車谷長吉―テロ第二世代の文学史
第3章 三島vs町田康、辻仁成、阿部和重、中村文則、上田岳弘―テロ第三世代の文学史
第4章 三島vs村上龍―『オールド・テロリスト』まで
第5章 三島由紀夫と11・25の秘鑰―『金閣寺』、『美しい星』、『午後の曳航』、『奔馬』
エピローグ 生首考―三島vs大江健三郎、松浦寿輝
著者等紹介
鈴村和成[スズムラカズナリ]
1944年名古屋市生まれ。東京大学仏文科卒。同修士課程修了。横浜市立大学教授を経て、同名誉教授。評論家、フランス文学者、紀行作家、詩人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
岡本正行
76
そぼ降る雨に気勢を削がれて、読書でもしようと手に取った。世界中でテロばやり、テロどころか本格的な戦争すら公然と頻発している。やむにやまれずテロ、暗殺を敢行する勇敢な戦士、いまウクライナとロシア、イスラエルとハマス、一時的に停戦・休戦しても、すぐ戦いを再開する。いまのうちに敵を徹底的に叩け。日本人は能天気、昨日の敵は、今日の友。文学では多くの作家がテロをテーマにして作品を造っている。それは小説、自らテロ、自死した三島由紀夫を論じている。言うは易く、行うは難し。死ぬのは怖い、だけどやるのだ、やった三島由紀夫2024/04/03
ndj.
9
三島VSウエルベック、川端康成、村上春樹、町田康、村上龍、大江健三郎等々、切り口が面白そうだったので。著者は三島の生首写真を仕事部屋に拡げて執筆したそうである。いささか牽強付会であり、そもそも三島の蹶起が「テロ」であるのか疑わしいが、ある種の「暴力」をめぐる文学史として読んだ。第Ⅳ章、三島VS村上龍は概ね成功しているように思う。未読の作品も多く、好奇心は大いに刺激された。2016/05/24
FKtaro
3
切り口は面白いんだけど半分以上が引用っていうのがダルすぎてさらっと読み。新書レベルにしてもっと内容絞ったらよかったのにと思う。2016/06/04
田中峰和
2
イスラム国の話題が世間を賑わせるようになり、三島の自決をテロと結び付ける書籍が増えたが、この本もその一つ。自決後の生首を晒した三島に対して、処刑後の生首をネットに拡散するISの共通性を見出す著者。仏の作家ウエルベックが書いた「服従」ではイスラム政権がフランスに誕生するが、それはテロ以上に恐怖だ。さらに村上春樹と三島の共通性を肉体のメッセージから捉える。村上はマラソンを、三島はボディビルを追及した。有酸素と無酸素の違いはあるが肉体至上主義的なストイックさを文学に取り込んだと主張する著者。こじつけだと思う。2016/04/18
くるまやさん
1
こじつけ感。2017/02/01