内容説明
一九四四年十月二十四日午後七時三十五分、「武藏」沈没―。乗員二三九九名中一〇二三名がシブヤン海に没した。だが、戦争はそれで終わったわけではなかった。さらに過酷な運命に翻弄された青年たちの真実を描く。巨艦をめぐる、比類なき人間ドラマ。運命に翻弄された男たちの群像。
目次
激闘
苦闘
死闘
艦隊反転
総員後甲板集合
武藏沈没
溺者救助
コレヒドール島
さんとす丸
内地へ
濱風と清霜
海上特攻
飢餓戦線
終戦
戦後点描
運について
著者等紹介
手塚正己[テズカマサミ]
1946年、長野県生まれ。東京で育つ。日本大学芸術学部中退後、フリーの助監督として劇映画、短編映画に従事。岩波映画製作所にて初演出後、ドキュメンタリー映画、テレビ番組などを多数演出する。91年、長編ドキュメンタリー映画『軍艦武藏』を製作監督。2003年、一〇年以上の取材期間を経て『軍艦武藏』を執筆(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
り こ む ん
32
吉村昭さんの「戦艦武蔵」に出会って著者は、大和の影に隠れていた武蔵に心を惹かれた。吉村版は、建造の様子を中心に描いているけれど、上下巻合わせれば、詳細な戦闘も描けるとばかりにシブヤン海での武蔵乗組員の模様を画いている。当たり前なのだけど、戦闘中は、誰もが必死に戦っている。どうしても、機銃員が壮絶で凄惨な現場に身をさらしているだけに目がいきがちだけれど、艦内の人間だって死に物狂いだ。その様子を教えてくれている。これは、読んでもらわないと分からない。読んで欲しい。あの不沈艦と言われた武蔵乗組員の闘いを2018/06/21
arakan
0
あえて今は感想を言語化したくない。圧倒的な「声」に満ちた作品です。すばらしい!2015/09/06
デントシロー
0
昭和19年10月にフィリッピンのシブヤン海に沈没した様子がそれぞれの生き残りの乗組員の証言として書かれており、巨大軍艦武蔵、日本海軍の象徴が航空戦術により無残にも不沈艦としての名を貶める。大和、武蔵の沈没から戦局はさらに悪化していく中昭和20年8月の終戦を迎えるのである。泥沼の戦局を打開すべき大日本帝国は一致していなかった。300万以上の犠牲者を出し未だに110万に以上の遺骨が見つかっていない現状を考えると一国の指導者の責任の重大さが理解できる。どんな理由があろうと間違った戦争は悲惨な結果をもたらす。2015/08/26
1048
0
日本の当時の技術を結集し莫大な費用をかけ製造された巨大戦艦がなすすべもなく航空機によって撃沈される様子は、巨大なモビーデック、白鯨が小さな人間によって捕獲されるさまを見るように思われました。 以前、とはいっても二十年ぐらい前読んだ吉村昭の戦艦武蔵と異なり、下級兵士の人間模様、軍隊生活なども詳細に書かれており、武蔵乗組員達がいかに戦い、いかに散っていったか、戦争の不条理さを感じ取ることができました。 生き残れるか否かは本当に紙一重で運命なのだと思いました 2018/06/16