内容説明
二〇一二年一二月一二日、兵庫県警本部の留置施設内で、ひとりの女が自殺した。女の名は角田美代子。尼崎連続変死事件の主犯である。美代子と同居する集団、いわゆる“角田ファミリー”が逮捕され、これまでの非道な犯行が次々と明らかになってきていた矢先のことだった。主犯の自殺によって記憶の彼方に葬り去られたこの事件の裏側には何があるのか?尼崎を中心とした徹底取材をもとに、驚愕の真相を白日の下の曝す、問題作!
目次
角田美代子と裏稼業
グリコ森永事件との奇妙なつながり
親の愛に飢えた少女
非公然売春地帯への紹介者
最初の家族乗っ取り
警察の怠慢
美代子の暴力装置
被害者と加害者の父
谷本家の悲劇
自由への逃走、追跡後の悲劇
崩れる大人たち
さまようファミリー
著者等紹介
小野一光[オノイッコウ]
1966年生。福岡県北九州市出身。雑誌編集者、雑誌記者を経てフリーライターに。「戦場から風俗まで」をテーマに北九州監禁殺人事件、アフガニスタン内戦、東日本大震災などを取材し、週刊誌や月刊誌を中心に執筆(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
126
2011年に発覚した尼崎連続変死事件を追った作品である。主犯角田美代子と同居する集団 角田ファミリーが行なった非道な犯行の取材である。家族として 入り込み、暴力で脅し 支配し、用がなくなれば殺す…その手口は読んいて 気味が悪く、正直読後感は良くない。 2022/05/01
そのぼん
106
事件が発覚した当時、ワイドショーやニュース番組で報道されていたのを思い出しながら読んでいました。一人の得体の知れない人物の支配によって本当にここまでたくさんの人々が死亡したり行方不明になったりしてしまうのかー。読み終わっても『なんで?どうして?』という気持ちが拭いきれませんでした。主犯の角田美代子の自殺で事件の肝心の部分は解明されないまま終わってしまいました。嫌な気分だけが残りました。2015/03/14
kinkin
88
この事件は当時マスコミでも大きく取りあげられ話題になった。主犯とされる角田美代子が獄中で自死を図った時から闇に包まれたまま次第に忘れられようとしている。この事件についてもう少し知りたくなり本書を取ったがあまりの人間関係、家族関係の複雑さにお手上げ・・・読解力不足に反省。 結果的によく分からないまま読了。これでは本の感想にはならないな* *2014/07/04
gtn
87
警察の反応が良ければ、何人かの命は救われた。「民事不介入」国民の生命・身体・財産を危険と困難を伴いながら保護すべき警察にとって、なんて便利で素敵な言葉だろう。2018/02/10
at-sushi@ナートゥをご存知か?
84
狙った家族を飛蝗のように食い尽くしていく角田ファミリー。北朝鮮が服を着て歩いているような美代子による支配の下、自ら肉親を殺めるまで心を挫かれる前に、なぜ元凶であるババア1人をブチ殺そうと結託しないのか不思議に思えるのは、所詮リアルな暴力や恐怖、絶望に接したことのない人間の甘っちょろい幻想に過ぎないのだろうか。 相関図がややこしすぎて全容を把握するのに一苦労するが、そもそも初動対応を過たなければボヤで済ませられたものをこれほど広大な山火事にしてしまった兵庫県警のポンコツぶりに怒りを覚える。 2016/09/25