内容説明
「永続敗戦」それは戦後日本のレジームの核心的本質であり、「敗戦の否認」を意味する。国内およびアジアに対しては敗北を否認することによって「神州不滅」の神話を維持しながら、自らを容認し支えてくれる米国に対しては盲従を続ける。敗戦を否認するがゆえに敗北が際限なく続く―それが「永続敗戦」という概念の指し示す構造である。今日、この構造は明らかな破綻に瀕している。1945年以来、われわれはずっと「敗戦」状態にある。「侮辱のなかに生きる」ことを拒絶せよ。
目次
第1章 「戦後」の終わり(「私らは侮辱のなかに生きている」―ポスト三・一一の経験;「戦後」の終わり;永続敗戦)
第2章 「戦後の終わり」を告げるもの―対外関係の諸問題(領土問題の本質;北朝鮮問題に見る永続敗戦)
第3章 戦後の「国体」としての永続敗戦(アメリカの影;何が勝利してきたのか)
著者等紹介
白井聡[シライサトシ]
1977年、東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)。日本学術振興会特別研究員等を経て、文化学園大学助教。専攻は、社会思想・政治学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
104
敗戦か終戦化という問題は以前からいわれているのですが、何時も思うのですがなぜ日本だけこのような問題が生じているのでしょうか?基本的には戦争を行った総括をしていないからだという気がします。ドイツは対戦国に謝っっていたりしてそのような問題はあまりありません。日本でもこの問題に早期に決着をつけるべきでしょう。2021/08/30
AICHAN
89
図書館本。現内閣のスローガンは「戦後レジームからの脱却」。つまり戦後は終わっていないことを認めているわけだ。なぜか? 敗戦を終戦と言い換えているからだ。負けを認めてこそ、次の段階に進める。認めないから戦後が終わらない。著者は、それを永続敗戦と呼ぶ。永続敗戦を認めてそこから脱却することこそ今の日本に求められる。ということくらいしか理解できなかった。それと国後・択捉を返せというのは無理だと知った。文章が難解すぎる。論文みたいな内容だった。2019/11/28
よこしま
54
最後のガンジーの言葉「あなたのすることはほとんど無意味であるが、(略)世界によって自分が変えられないようにするためである」、思い返せば確かに自分を流されないようにしていると気付きました。◆レビューです。予約待ちが殺到していること、小難しい文章のため、全てを理解するには至りませんでしたが、買って何度も読むべき良本かなと。国家が【敗戦】を認めなかったことで対米追随を続け領土問題や北朝鮮などの問題につながるツケが。そして3.11で多くの人が更に歪んでゆく国家に気付きました。屈辱の元で生きているということともに。2014/10/13
どんぐり
54
敗戦を否認しているがゆえに際限のない対米従属を続ける側面と、対米従属を続けている限り敗戦を否認し続けることができる状況を「永続敗戦」と称して論じた白井聡の時事的政論。「ポスト3.11」の福島原発事故と「戦後は終わった」という日本の平和と繁栄を重ね合わせてみると、見えてくるのは、敗戦の隠蔽だった。私らは侮辱のなかに生きている。もうこれ以上、「侮辱」をもたらす日本的無責任体制の維持に加担することはやめにしたらどうだ。そうだよな。2014/09/08
skunk_c
40
やっと読み切れた。内容、特にタイトルの意味する「敗戦を否認しているがゆえに、際限のない対米従属を続けなければならず、付会対米従属を続けている限り、敗戦を否認し続けることができる」という認識は、40年来沖縄や原子力発電に関心と憂慮をもってきた者からすれば、首肯できる。それをこうした形で明確に言語化した著者には敬服する。だが、もう少し分かりやすく書けなかったのだろうか。特に第1章については、議論を精緻にするためかもしれないが、非常に読みづらい。これでは結局知的エリートの自己満足に終わるのではないか。2017/08/13
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