内容説明
不公正な貿易を変えるために。コーヒーの経済研究の第一人者による画期的な業績。
目次
第1章 コーヒーのおいしさ―情報のおいしさと「キリマンジャロ」
第2章 「キリマンジャロ」の生産者たち―「顔の見える関係」のために
第3章 コーヒーのグローバル・フードシステム―生産国タンザニアから消費国日本まで
第4章 コーヒーの価格形成の不公正さ―生産者たちの不利な状況
第5章 ポスト構造調整とフェア・トレード―生産者たちの不利な状況の改善
第6章 キリマンジャロの農家経済経営―コーヒー危機とフェア・トレードの影響
第7章 日本のコーヒー産業の特質とフェア・トレード
第8章 コーヒー危機を超えて―国際価格上昇の影響
著者等紹介
辻村英之[ツジムラヒデユキ]
京都大学大学院農学研究科准教授(農業組織経営学専攻)。農学博士(農林経済学)。在タンザニア日本大使館専門調査員、金沢大学経済学部助教授を経て現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ワダマコト
31
フェアトレードという言葉が耳に入るようになって、生産者と消費者の間に大きなギャップがあることを「なんとなく」は知っていた。本書では、そのなんとなくを具体的な数字として提示してくれているのがありがたい。喫茶店でのコーヒー1杯につき、生産者に分配される金額はなんと「2円」。僕らは高度な消費生活を営みながらも、発展途上国からは金をまきあげている。この事実に、まったくもって声がでない。2013/12/20
shu_reading
2
美味しいコーヒーの裏にある生産地・生産者(タンザニア)の現状等について書かれている。美味しいコーヒーをもちろん安くは飲みたいけど、コーヒーの基準価格および変動要因が国外(ニューヨーク、ブラジル)、基準価格が先物価格であり、コーヒー危機による生産者価格の低迷が、結果、他への転作や森林破壊となったりコーヒーの品質を損なっているとの事。それを打開するにも、フェアトレードによる最低輸出価格の補償、フェアトレードプレミアム支払は大切だし、やっぱり適正な価格で美味しいコーヒーをこれからも飲みたいと思う。2014/02/08
oiron
0
【読んだ】「おいしいコーヒーの経済論 増補版」(辻村 英之/太田出版) #図書館日和 副題に「キリマンジャロ」の苦い現実とあるように、読み進めるほどコーヒーが苦く感じる。そこには生産者の貧困や不公正さの残る取り引き価格、生産量の不安定さ、さらには消費者の無関心さがある。本書はそれを解消する為の取り組みや仕組みなどを実地調査結果を加えて解説している。経済論ですがコーヒーへの無限の愛を感じる内容です。2014/11/13