出版社内容情報
フリーター、パート、派遣、請負……不安定化する若者たちの労働現場。そのナマの姿を、自身も長年フリーターとしてサヴァイブしてきた著者が取材した渾身のルポタージュ。この国の生きづらさの根源を「働くこと」から解き明かす宣戦布告の書!!
内容説明
自己責任の名のもとに私たちを使い捨てる社会に、企業に、反撃を開始する!この国の生きづらさの根源を「働くこと」から解き明かす宣戦布告の書。
目次
第1章 「生きづらさ」とフリーターをめぐって―破壊された「働くこと」「生きること」
第2章 フリーターの実態
第3章 寄せ場化する都市
第4章 「働くこと」と「生きること」―心の病と格差社会
第5章 企業による殺人 過労自殺
第6章 抵抗する人々
第7章 なぜ、若者は不安定化したのか
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みゃーこ
33
これ、ロスジェネ世代の先駆をいった雨宮さんの代表作だが、目からうろこの一冊だったな~。この本が作った当時の空気は様々な社会的弱者や社会活動家が立ち上がり、様々な市民運動が興隆した先に民主党とのリンクがあって政権交代が実現したが讃嘆たるものだったんだよな~っ。でも元気のないロスジェネ世代に唯一団塊世代には負けるが「学生運動」らしい勢いを作った契機を与える当時衝撃の聖典だった。2015/05/29
NICK
10
フリーターや派遣社員といった貧困層の悲惨な現状を明らかにし、生きることそのものが困難と化した社会へ物申すアジテーションの書。なので論に偏りはある。しかしこの本でもインタビューされている今野春貴による『ブラック企業』を始めとする最近の著作を読んでみると、労働者の環境というのは7年前とそれほど変わらないように思える。過酷な労働によってただ使い潰されるという悲惨。セーフティネットすらまともに機能していない状況で果たしてどう夢や希望を持つことができるのか。2014/02/10
みんにゃりん
8
転職を繰り返す家族がまた2年も働かないうちに次の転職を言い出した中で読んでて非常に辛かった。だけど、正社員だからって、10年後どうなってるかわからない自分のことだって不安なわけで。ただ言えることは、団塊の子供たち世代はパラサイトでもニートでも最低限生きれるけど、その世代の資産が枯渇して背負わねばならなくなった時、今の賃金で親を支えられない、子を養えないと追い込まれることになる。親の経済力ありきの最低賃金をどうにかしないと。2014/02/08
c_a_m
6
この本のため、私は3日ほど混乱になり労働問題を考えこんでしまった。ただ、生きさせろというけど、税金も払わずお金をくださいといって、全員が仕事をしない自由を選んだらそのお金は何処からくるんだろう…。そんなこといってないけど、この本はそれさえ認めている。根本的な不況改善を提示せずに叫んでいるように見えて、消化不良。叫ぶことに意味があるのかも。うん。2012/04/04
ひやしなむる
6
読み進めていくうちに気付いた。「これ全然他人事じゃないじゃん!」って。めっちゃ当事者だった(笑。「いずれなんとかなる」「誰かがなんとかしてくれる」っていうのは、思考停止なのかなと思った。まずは当事者意識を持つこと。思考停止状態から抜け出すこと。これはそのきっかけになってくれる本だと思います。事例も豊富だし。「貧乏人大反乱集団・高円寺ニート組合・素人の乱」の話は面白くて思わず笑ってしまった(笑。話変わりますが、キャンパス内にコタツ出して鍋するとか、『夜は短し歩けよ乙女』に出てくる韋駄天コタツみたいですね。2011/09/04