出版社内容情報
詠み継がれる名歌&名句は、生物学目線で読み解くとさらに面白くなる!
『生き物の死に様』『はずれ者が進化をつくる』などベストセラー多数!
短歌も詠む人気の生物学者による新しい短歌&俳句鑑賞の手引き
本書は、「短歌&俳句は生物学の視点があるともっと面白く鑑賞できる!」をテーマに、人気の生物学者・稲垣栄洋氏が名歌&名句で描かれる生き物を解説していくものです。
例えば、松尾芭蕉の有名な一句【古池や蛙飛びこむ水の音】では、「このカエルとは何ガエルなのか」をテーマとしています。俳句においてカエルの定番と言えば、“カジカガエル”なのですが、ここは裏庭にいる“ツチガエル”と著者は考えます。その理由を生物学の視点で解き明かしていくのです。
このように名歌や名句には、生き物や自然について私たちが気付いていない新しい見方や楽しみ方が隠されており、本書は、短歌&俳句が好きな方はもちろん、生き物に興味がある方にも満足してもらえる一冊です。
<本書で取り上げる俳句&短歌の一部>
①古池や蛙飛びこむ水の音(松尾芭蕉)
→古池に飛び込んだのは、何ガエル?
②やれ打つな蝿が手をすり足をする(小林一茶)
→ハエが手足をすり合わせるには、理由がある
③のど赤き玄鳥ふたつ屋梁にゐて足乳根の母は死にたまふなり(斎藤茂吉)
→ツバメはどこから亡くなった母を見ていたのか
④むざんやな甲の下のきりぎりす(松尾芭蕉)
→カブトの中では、本当にキリギリスが鳴いているのか?
⑤白鳥はかなしからずや空の青海のあをにも染まずただよふ(若山牧水)
→ハクチョウはなぜ白いのだろうか
…全部で57の句・首を掲載
内容説明
五七五七七の短歌や、五七五の俳句は、世界でもっとも短い定型詩と言われている。この短い定型の中で、季節ごとの動物や植物の活き活きとした姿が詠み込まれているのは本当にすごいことだ。さぁ、名歌や名句に登場する動物や植物を生物学の視点から読み解きながら、作者の自然に対するまなざしに思いを寄せてみることにしよう。
目次
スミレ―山路来て何やらゆかしすみれ草(松尾芭蕉)
スミレ―石垣のあひまに冬のすみれかな(室生犀星)
キチョウ―初蝶来何色と問ふ黄と答ふ(高浜虚子)
モンシロチョウ―初蝶や菜の花なくて淋しかろ(夏目漱石)
モンシロチョウ―とぶことのうれしととべる紋白蝶(山口青邨)
春の七草―せりなずなごぎょうはこべらほとけのざすずなすずしろこれぞ七草(四辻善成)
秋の七草―萩の花尾花葛花なでしこの花おみなえしまた藤袴朝顔の花(山上憶良)
花の色―草いろいろおのおの花の手柄かな(松尾芭蕉)
ハナショウブ&ハチ―はなびらの垂れて静かや花菖蒲(高浜虚子)
パンジー&チョウ―パンジーの畑蝶を呼び人を呼ぶ(松本たかし)
カンゾウ―萱草の一輪咲きぬ草の中(夏目漱石)
ユリ―百合の蕊みなりんりんとふるひけり(川端茅舎)
黄色の花&アブ―何候ぞ草に黄色の花の春(服部嵐雪)
ナズナ―よくみれば薺花さく垣ねかな(松尾芭蕉)
チガヤ―戯奴がため我が手もすまに春の野に抜ける茅花そ食して肥えませ(紀小鹿)
ウメ&メジロ―梅の花散らまく惜しみ我が園の竹の林に鴬鳴くも(少監阿氏奥島)
ウノハナ&ホトトギス―五月山卯の花月夜ほととぎす聞けども飽かずまた鳴かぬかも(作者不詳)
ツチガエル―古池や蛙飛びこむ水の音(松尾芭蕉)
ニイニイゼミ―閑さや岩にしみ入る〓の声(松尾芭蕉)
カエル―菜の花にかこち顔なる蛙哉(小林一茶)〔ほか〕
著者等紹介
稲垣栄洋[イナガキヒデヒロ]
1968年、静岡県生まれ。岡山大学大学院修了。農学博士。農林水産省、静岡県農林技術研究所などを経て、静岡大学農学部教授。中学校、高校の国語の教科書に著書が掲載されている他、昨今は入試の再頻出作家として知られている。40歳を過ぎてから、中学校時代の国語の先生の勧めで短歌を始める。コスモス短歌会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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