内容説明
生涯をかけて新約聖書のイエスと向き合い続けてきたドストエフスキイという作家の思想の独自性に着目した著者が、彼の作品がもつ「聖と俗」の二重構造を鮮やかに開きながら、満を持して著わした画期的な『カラマーゾフの兄弟』論。ゾシマ長老と兄弟の父フョードルの二つの死を軸に展開される人間の愛と葛藤、罪と裁き、そして没落と甦りを、新約聖書の「一粒の麦」と「ゲラサの豚群」の二つに焦点を絞りつつ考察し、自らの内面に思考の錘鉛を下ろしながら、作品の底を流れる「死と再生」の物語を浮き彫りにしていった希有な作品論。
目次
前篇(リーザの嵐;リーザとアリョーシャとの対話(1)
「神と不死」の問題と福音書
イワン
「надрыв」(激情の奔出))
後篇(二つの死;(終章)リーザとアリョーシャとの対話(2))
著者等紹介
芦川進一[アシカワシンイチ]
1947年、静岡県生まれ。東京外国語大学フランス語学科卒業。東京大学大学院人文科学研究科比較文学比較文化博士課程修了。津田塾大学講師を経て、現在河合塾英語科講師・河合文化教育研究所研究員。専門はドストエフスキイにおけるキリスト教思想(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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