内容説明
現代を貫いて生き続ける廣松哲学の核心部分をわかりやすく明解に語った珠玉の講演録。
目次
第1部 マルクス思想のパラダイム(歴史・内・存在としての人間;マルクスにおける社会像の原点 ほか)
第2部 科学・近代の地平と問題性(唯物論と科学;近代合理主義と科学 ほか)
第3部 四肢的構造論と事的世界観(意識の四肢的構造;日本思想界の現状理解のための前梯 ほか)
第4部 実践論と文化論とへの示唆(第三段階に突入したマルクス主義運動と私を語る;哲学とギャンブル ほか)
著者等紹介
廣松渉[ヒロマツワタル]
1933年8月生まれ。1994年5月没。東京大学文学部哲学科卒。同大学院博士課程単位取得退学。東京大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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amanon
3
「本当に関係一次性や事的世界観が新たな哲学的地平を啓くことになるのか?」。本書を読んで改めてそんな疑問を抱いてしまった。かつて、廣松の著作でその概念に触れたときは、「ええ、そんな考え方があるんだ」と目から鱗が落ちた思いをしたものだが、今回本書を読んでみて、どこか大風呂敷を広げている感がどうしても否めなかった。確かに関係性によって規定される部分は大きいだろうけれど、本当にそれで全てが語り尽くせるのか?どんなに理論を展開しても、実体は実体として残るのでは?という気がしてしまう。それは今後検証されるのだろう。2018/05/30
hidehi
0
講演やシンポジウム等での報告を中心に、廣松哲学を幅広い観点で網羅している。本人が話すために書いた原稿に朱を入れたものなので、簡潔でわかりやすく、エピソードトークや多少緩い関連トピックへの言及などもあって興味深い。『世界の共同主観的存在構造』を読んだ後だったので、改めての整理や"そういう含みがあったのか!"的な発見があって面白かった。逆にこちらから入って『存在構造』などを読むと敷居が低いのかな? 2025/04/07