感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
rinakko
8
〈みづからのはうへと向けて擦るマッチ 胸には容れることなきほのほ〉 〈写真いちまい端から燃えてゆくやうに萎れてしまふガーベラの赤〉 〈明日死ぬ星のいのちを抱くやうにきみの頭蓋をかかへて眠る〉 〈横たはるフローリングの冷たさよここより遠き異郷はなくて〉 〈長い眠りと眠りのあひだに見る夢のああなんてここはまばゆい光〉 〈胸底を昏く流れる川があり時をりゆびを浸してあそぶ〉2019/07/10
すずき
6
数年前に歌壇賞を受賞した飯田彩乃さんの第一歌集。『リ「ヴァー」サイド』というタイトルに既に作者の色がよく出ている。特に前半に著しく愛唱性のある作品が並ぶ。繰り返される川や水、光などのモチーフが一貫して透明感のある世界を作り出す。物理学徒だからかはわからないが、着眼もうまい2019/07/09
あや
3
日常が遠い宇宙と繋がっていると感じさせてくれるような静かなベクトルの確かな歌の数々。私もこんな歌を詠みたいと思いつつとても真似できない。2020/03/24
雨香
2
水の表現が印象的。あとがきの「生活のそばにはいつも川がありました」で納得。 自分の内側にもうひとつの命があることの不思議さを詠む一連の、静かで深い眼差しも素敵。 そして子どもが生まれてからは、子どもの成長を喜びつつ、時々「この子と自分は別の人間なのだ」とふと気付いたような歌が混じるのもおもしろい。 【草原にたつたひとつのバスタブを置いて遥かな雨を待ちたい】 【響きあふとほい海鳴り二人分のからだがシーツの波間に沈む】2019/06/18
MKI
2
いつの間にこんなところにたましひの切岸に立つやうな心地で(「光の名前」より)
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