内容説明
震災で喪ったふるさと浪江への思い、原発汚染への怒りと疑問などなど、歌人とミュージシャン、ふたつの顔を持つ作者の律動感溢れる第一歌集。
目次
1 みどり風(みどり風;不等式;林檎になりたい;我去了台湾 ほか)
2 ミラーボール(号泣をした夜;海遊集団;ふくしまの米;再会のとき ほか)
3 2011年3月11日後のわたし(ふるさとは赤;人のさまざま;それでも生きる;青田、浜風 ほか)
著者等紹介
三原由起子[ミハラユキコ]
1979年福島県双葉郡浪江町に生まれる。1995年より作歌をはじめる。同年、第48回福島県文学賞短歌部門青少年奨励賞受賞。1997年第1回全国高校詩歌コンクール短歌部門優秀賞受賞。1999年早稲田短歌会入会。2001年第44回短歌研究新人賞候補。2002年共立女子大学国際文化学部卒業。2013年第24回歌壇賞候補。「日月」所属(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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charlie_
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<iPad片手に震度を探る人の肩越しに見るふるさとは 赤> この赤がなにを証明するのだろう、そう言葉がついて出てしまう、何を象徴するするではなくもっとあからさまにあっけらかんとして即物的で非情な赤、歌集の表紙は青くふるさとは赤の文字は白抜きで、赤い帯。己のものも近親のものも知らぬ人々も、逃げてゆくのか、すり抜けてゆくのかどこへ旅たつのかたてぬのか、掴めないほんとうのこゝろの在処を歌う、一編の物語としてわたしは読みました。良い歌集であり良い本だと思う。私、ちょっと歌集など読みこの心持ちは初めてである。2013/07/14
林克也
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原発の話題に触れればその人のほんとうを知ることはたやすい2025/01/07
SACHI
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ストレートな歌が多くてわかりやすいが、特に序盤は少し物足りなくもあった。学生時代からはじまり、恋愛や結婚、新婚旅行に至るまでまっすぐな言葉で綴られている。2011年3月11日以後の歌は福島出身の作者が歌わずにはいられなかった作品が並び、時には目を背けたくなるほどの切実さがある。2018/07/30