内容説明
短歌の中でやわらかに息をする言葉たち。「漂流の記憶」「物語集」を含む2004‐2011年の292首を収録。
目次
1 (漂流の記憶;私には私の身体が ほか)
2 (影;カラフル ほか)
3 (敗者の冬;春の進行 ほか)
4 (旅;記憶により曇り ほか)
5 (物語集)
著者等紹介
石川美南[イシカワミナ]
1980年生。短歌同人誌poolおよび「sai」のほか、さまよえる歌人の会などで活動(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
だいだい(橙)
16
図書館にもなく、古本で入手。期待を裏切らない素敵な内容。巻末の「物語集」は怖さ満載で好きだが、それ以外の連作も各々が短編小説のよう。冒頭の「漂流の記憶」から広がりのある世界を豊かに見せてくれる。短歌の可能性をここまで拡げられるのは石川さんを置いて右に出る歌人はいないのでは?「裏島」も入手したいが、どこにもない。涙。読みたいよー‼️2023/10/24
まみ
10
物語集のみ既読でしたがもっと読みたくて購入。装丁がたまらなく好きで所有欲をそそられた一冊。そして歌も大好き。一瞬で物語世界が立ち上がるような歌がたくさん。すぐさまもう一冊も取り寄せた。「息を呑むほど夕焼けでその日から誰も電話に出なくなりたり」「頭の上に膝を抱えてあはれあはれ蛸を産むのは蛸ばかりなり」「噛めば月のまばたきに似た音のするアルミニウムの硬貨を愛す」「文体の似通つてくるあやふさよ見てをり月の海の凸凹」2012/10/29
辛口カレーうどん
8
ときめきしかない。 鷲掴みされましたよ。 色んな言葉を、無秩序に繋いでいるようで、選び抜かれた言葉の組合わせ。 日本語は美しい。2014/06/07
デコボコ
5
みなさん褒めてらっしゃいますが、やはり「物語集」が素晴らしい。<食べ損ねたる手足を想ひ山姥が涙の沼を作つた話> <朦朧と口に運びし野葡萄があなたの指に変はるまでの話> <午前二時のロビーに集ふ六人の五人に影が無かつた話> <「発車時刻を五分ほど過ぎてをりますが」車掌は語る悲恋の話> どうでもいいけど山姥やたら出てきたな…2016/09/12
はち
5
こちらは再読。(たぶん少しずつ読み返してはいるけれど)最終章の「物語集」は構成が面白く、ここだけでも読む価値がある。短編小説集を読んだ気分だ。2016/07/12