内容説明
「眠り課」「大熊猫夜間歩行」「裏島」を含む2002‐2011年の393首を収録。
目次
1 町(眠り課;鳥;荻窪グッドマン、午後八時~ ほか)
2 家(祖父の帰宅/父の休暇)
3 旅(大熊猫夜間歩行;豚のあたま;旅の途中 ほか)
著者等紹介
石川美南[イシカワミナ]
1980年生。短歌同人誌poolおよび「sai」のほか、さまよえる歌人の会などで活動(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kaizen@名古屋de朝活読書会
37
#石川美南 #短歌 実現に至らなかった企画たちが水面に浮いて油膜のやうに 泥と水ゆるく抱き合ふ川底でたっぷり眠つたら始めから 湖の底までとどく水の皺あれが悪意、と教へられたり 水鳥が羽を動かす場面のみ無音の映画これはかなしみ 締め切りは何年も前なのだつたビニール傘に雨のしかかり 雨音にくるまれてゐるこの部屋で君はピアノを食らつて生きる #返歌 フォント二種使ひ分けてる意味知らぬ後書き書ひて欲しひと思ふ2016/08/13
まみ
11
再読。どの連作もそれぞれ好きなんだけど今回は「祖父の帰宅/父の休暇」に強く惹かれる。家族の構成員5人がそれぞれ歌を詠んでいる設定で、仮名遣いや文体などによってキャラクターを描きわけるおもしろい連作。みごとだ。ひらがなの多い歌を詠む「母」のあやうさがたまらない。2013/02/11
まみ
10
『離れ島』を読んだらたまらなくなってこちらも購入。そしてしょっぱなの「眠り課」からやられる。「あくまで噂、なのだが、私の会社には会社組織表に記載されてゐない〈眠り課〉なる課があつて、密かに社を牛耳つてゐるといふ。」歌集という形を取っているけれどこれは物語集だ。ひとびとが鳥になりゆく島、20年ぶりに帰ってきた祖父、夜間歩行するパンダのリンリン。だいすきであります。2012/11/11
辛口カレーうどん
8
登録200冊目。短歌が集まり、物語になっている。 やられた。これは素敵すぎる。作者さんは私より若いが、私よりうんと世の理を知っている。 ああ、嫉妬しちゃう。2014/05/25
赤いきのみ
7
初めて自分で買った歌集かも。表紙に惹かれて購入。共感じゃなくて、小説を読む気持ちで読んだ。「眠り課の暗躍により第五号議案もつつがなく夢の中」「異界より取り寄せたきは氷いちご氷いかづち氷よいづこ」「縞模様(はた檻模様)描かれゐる路面を今宵しげしげと踏む」「液体と気体を行き来するうちに恋に落ちたりするはずだった」「ノンオイルドレッシングの灯台が照らす昨日ののこりの鰆」 ☆「釣り針といふものかこれが 飲み込めば身体から海、海の剥がるる」 ☆「鳥が羽を動かす場面のみ無音の映画 これはかなしみ」2014/02/18