内容説明
嵐のように揺れる戦後短歌の世界に忽然と現れた葛原妙子。幻視の女王、魔女、黒聖母、ミュータント…さまざまに呼ばれながら、未だ短歌史に確かな位置づけを持たない。葛原妙子の歩みとその時代を仔細に追いながら、女性の眼で発見・発掘する、戦後短歌史。
目次
1 葛原妙子への入口
2 『橙黄』誕生
3 身体表現と戦後
4 近代という宿題
5 前衛短歌運動との距離
6 「原不安」の発見
7 キリスト教という視野
8 「魔女」と「幻視の女王」
9 「伝統」創造の時代
10 晩年の峰
著者等紹介
川野里子[カワノサトコ]
昭和34年大分県生まれ。千葉大学大学院文学研究科修士課程修了。歌集に『太陽の壷』(第13回河野愛子賞受賞)。歌誌「かりん」編集委員。共立女子短期大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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りっとう ゆき
5
戦中→戦後、短歌の変革が求められるという背景の中で、独自の短歌を模索してきたその状況、構図がわかった。理想の女性短歌は、などと周りで勝手なこと言われながらも自分の詠みたい歌を詠もうとし、ときに他の人々の作品も冷静に批評するなどのかっこよさ。また、暗い部分、プライベートの明るい部分など様々の側面からの葛原が知れてよかった。あと、同じ前衛と括られていても塚本邦雄は「観念的、知的」葛原は「体験的、生理的」、また「自分」の捉え方も真逆。これは本当にうなづける。→2021/09/17
はちみつぐすり
1
魔女・幻視の女王のイメージのみが先行していたけど、誰よりも人間の存在を、人間にまとわりつく怖れや不安、孤独と対峙して見つめ続けてきた人なんだなと。女である自身、妻・母である己と歌人であることとか。2015/03/22
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