出版社内容情報
山口から岡山に引っ越してきたぼくは、奉還町商店街のまんじゅう屋の息子、あつしと仲良くなった。奉還町は、大政奉還で配られた奉還金をもとに、武士が商売を始めたという歴史のある町だ。そこには、毎日金髪のマネキンたちといっしょにおっかない顔で店の前につったってる「レディースファッションべにや」のおっちゃんや、店であつかうすべての種を育てて観察し、記録をつけている「たねやのノダ」のおばあちゃん、若い懲りミュージシャンを夢見ていた「沖原整骨院」のじいちゃん先生など、個性的な人だらけで……。
子どもたちの目をとおして、お年寄りや彼らの人生を温かく描いた児童文学作品。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
chimako
79
昭和そのもの みたいな奉還町商店街。そこに越してきたぼくはあつしと友だちになった。商店街はおじいさんおばあさんばっかり。洋服屋べにやのおっちゃんはおっかない。全然笑わない。床屋のいのうえさんは野犬と戦うし、たねやのノダのおばあちゃんにはお母さんがいて日曜日の10時に散歩に行く。商店街には整骨院もあるし中国カフェもある。そこであつしの兄ちゃんがイベントを立てる。なんだかんだでみんな仲が良い。みんなで役割分担して(と言うか立候補して)盛り上げるよ!ファンタジー要素もあるけど地に足の着いた楽しい作品だった。2022/12/13
ベーグルグル (感想、本登録のみ)
40
寂れており、お年寄り店主の多い奉還町商店街。そこに引っ越ししてきた少年さとしとその友達あつし。商店街の個性的な店主と少年たちの交流が描かれている。不思議な話もあるが、子供たちと老人の交流が懐かしさを感じるように描かれており、温かい気持ちになった。2023/04/19
白雪ちょこ
24
昔ながらの商店街で育った、主人公の小学生達からの目線。 普段、何気ない日常が繰り広げられているが、そこで昔から住んでいるお年寄り達との、平和でかつ、どこか切なさも漂う日常会話が、とても微笑ましい。 遠回しの表現方法だが、大人になったら気づくこともたくさんあり、最後は日々の中にある小さな幸せを見つけられて、ハッピーエンド。 お年寄り達を、いたわろうという気持ちにもなれた。2023/10/22
ゆーり
21
図書館児童書コーナー立ち読み本。すっかり寂れている奉還町商店街。大政奉還の時期、殿様から貰った奉還金で興した商店街。そこに越してきたさとし、友達のまんじゅう屋さんのあつし。小5のふたりが商店街のお年寄りたちと体験する色んな出来事。こんなに人の距離が近いなんて田舎でもそうそうなくなってきたなぁ。最後の章の田舎の商店街で結婚式、挿絵のだんだん人が集まって並んでくる雰囲気がなんだか楽しい。2023/09/10
雪丸 風人
13
歴史が古く、お年寄りだらけという奉還町商店街が舞台。主人公は越してきたばかりの小学5年生です。老人に好かれやすい彼が、元気印の友人とともに、存亡の危機にある商店街で立ち回る姿が活き活きと描かれています。全6話の連作短編集ですが、正直、序盤は気が乗りませんでした。スイッチが入ったのは3話目から。最終話の商店街を挙げたイベントの話もいいのですが、4話目の博多行きで見せた少年の気遣いは特に素晴らしかったですね。読めばきっと優しい気持ちになれる。そんなあったかい作品集だと思います。(対象年齢は10歳以上かな?)2023/04/20