能の絵本 一角仙人―鹿の角をもつ男

片山 清司【文】/小田切 恵子【絵】

ＢＬ出版（2017/11発売）

• サイズ A4判／ページ数 32p／高さ 28cm
• 商品コード 9784776408277
• NDC分類 E
• Cコード C8793

内容説明

額に鹿の角がある一角仙人が、神通力で龍神を封じこめてしまったため、ハラナ国は雨がふらず、大干ばつになってしまいました。美しく聡明なセンダ夫人は国王から、仙人の神通力を解く役割を申しつけられ、龍神をすくい出すため、山奥の仙境へと向かいます。日本の古典芸能「能」にみる珠玉の物語シリーズ。

著者等紹介

片山清司［カタヤマキヨシ］
観世流能楽師シテ方。１９６４年京都府生まれ。父は片山幽雪（九世片山九郎右衛門）、祖母に京舞井上流四世家元井上八千代、姉は五世家元井上八千代といった能と京舞の芸能の家に育つ。父及び八世観世銕之亟に師事。２０１１年１月十世片山九郎右衛門を襲名。全国各地で多数の公演に出演する他、ヨーロッパ、アメリカでの海外公演にも積極的に参加。また、学校公演及び学校における能楽教室の開催など、若年層のための能楽の普及活動も手掛ける。重要無形文化財（総合指定）保持者。京都府文化賞奨励賞、京都市芸術新人賞、文化庁芸術祭新人賞、日本伝統文化振興財団賞、京都府文化賞功労賞、芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞

小田切恵子［オダギリケイコ］
日本画家。東京都生まれ。女子美術大学芸術学部絵画学科卒業。森田曠平、伊藤髟耳に師事。日本美術院特待。院展２２回入選、春の院展２６回入選。近年、能舞台の松羽目を２面制作（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー

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[モリー]

ハニー・トラップのような策略に落ちた一角仙人は、神通力を失ってしまいます。その結果、一角仙人が岩に閉じ込めた龍神たちが開放され、干ばつが続く大地に雨が降ります。人間様にとっては、めでたしめでたしなお話です。しかし、この物語をそのように単純に理解するのはもったいないかもしれません。騙し役に選ばれた絶世の美女は、仙人の奏でる琴の音と詩を吟ずる声に魅了されますが、騙す決意は翻しません。そこに深い葛藤はなかったのか。一角仙人の生い立ちも詳しい説明はありませんが、そこに同情の余地はなかったのでしょうか。↓下に続く

2024/01/14

[Smileえっちゃん]

図書館本。能の演目本。額に鹿の角をもって生まれた男、修行の末、神通力の持つ仙人になる。龍神との争いで勝ち龍神を岩屋の閉じ込めてしまう。雨が降らず、干ばつが続く国を救う国王が取った策。雨が降りめでたしなのですが…なぜ龍神と闘うことになったのか…鹿の体内から生まれたとうわさされ、仙境で一人寂しく生きてきた男。人の優しさに触れることなく・・・一角仙人の孤独感、悲哀が伝わってきます。

2024/02/06

[モリー]

能の演目である「一角仙人」を観世流能楽師シテ方の片山清司氏が文を、日本画家の小田切恵子氏が絵を担当した絵本。一角仙人とは、むかしむかし天竺のハナラ国に生まれた鹿の角をもつ男の異名。長じて神通力を持つようになり、龍神を封じ込めたため、ハナラ国は大干ばつに見舞われる。国王は一計を案じて、美しい女性を一角仙人の元へ差し向ける。女の色香に惑い、神通力を失う一角仙人。一方、神通力の呪縛を解かれた龍神は雨を降らせる。人間に都合の良い話だ。しかし、頭に角か生えて生まれてきた男の孤独や悲哀を描かれた表情が物語っている。

2019/01/13

[おはなし会 芽ぶっく]

能の演目。1度能を観劇したことがありますが、さっぱり分かりませんでした。こういう絵本だと分かりやすいですし、事前に学習（と言えるかな？）しておくと、おはなしも展開も理解できるのではないでしょうか？仙人であっても、女の色香には惑わされるのでしょうかね（笑）BL出版で他にも能の絵本が出版されているので、読みたいと思います。【SDGs８　働きがいも経済成長も（仕事　職業 将校・軍人・スナイパー・傭兵・戦闘員・戦士）】

2019/09/04

[遠い日]

能の演目「一角仙人」を絵本にしたお話。一角仙人に捕らえられた龍神を救い出さない限り、一滴の雨も降らず、困り果てるハラナ国。時代を問わぬ、絶世の美女を送り込むという発想にくすり。

2018/06/14