内容説明
ぼくのうちからはうみがみえる。きょうは、とてもいいてんきでうみがひかっている。おとうさんはうみのしたのたんこうではたらいている。おはかにねむるおじいちゃんも、おなじようにはたらいていた。そして、いつかぼくも、そこではたらくんだ。祖父から父へ、父からむすこへひきつがれていく時間―少年とうみと家族の物語。1950年代の炭鉱の町の遠い日の思い出。
著者等紹介
シュウォーツ,ジョアン[シュウォーツ,ジョアン] [Schwartz,Joanne]
カナダのノヴァ・スコシア州ケープ・ブレトン島に生まれる。はじめての絵本“Our Corner Grocery Store”が、カナダの児童書に贈られるマリリン・ベイリー賞の候補となる。25年以上、児童のための図書館員をつとめる。トロント在住
スミス,シドニー[スミス,シドニー] [Smith,Sydney]
ノヴァ・スコシア州郊外に生まれる。ノヴァ・スコシア美術デザイン大学卒業。ジョナルノ・ローソン原案の文字のない絵本『おはなをあげる』(ポプラ社)でカナダ総督文学賞(児童書部門)、ニューヨークタイムズ・ベストイラスト賞など、さまざまな賞を受賞。妻、息子と共にトロントに在住
いわじょうよしひと[イワジョウヨシヒト]
岩城義人。高校卒業後に渡英し音楽を勉強。帰国後、翻訳学校で翻訳を学ぶ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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やすらぎ
152
海辺の街、窓から海が見える家に住む家族。父は毎日仕事に出掛ける。海の下の炭鉱へ。何処までも広く深く、何処にいても漂う潮の香り、きらめきは水平線まで続いている。光の当たらない地下で働く多くの人、無事の帰りを待つ夕暮れまで、波は寄せては引いて少年の気持ちは霞んでいく。晴れていても曇っていても景色は変わらないまま、祖父から父、父から子へと受け継がれていくのだろう。伝統、継承、失われていくものへ抱く切なさを。作者はここに何を残そうとしたのだろう。永遠と感じている今の思いも、時が進み移り変われば、懐かしさに変わる。2025/02/22
はる
94
何だろう。一本の映画を見たような心地よさ。1950年代、カナダの海辺の小さな炭鉱町。人々は代々、海の下の炭鉱で働いてきた。この町のある一日を、少年の目を通して描く。特にドラマがあるわけでもない。ただ目の前に広がる海の美しさと、実直に働く人たちの素朴な姿が胸に沁みる。ノスタルジーだけではない。本当の豊かさ、本当の幸福な姿がここにある。2022/08/29
seacalf
87
美しい表紙の海に一目惚れ。1950年代頃のカナダのケープ・プレトン島の、海底炭鉱の町が舞台。羨ましいくらい素敵なロケーションに住んでいる少年の1日が描かれている。淡々とした語りなのに、穏やかでのどかな生活と、あまりにも美しい海の姿と、近い将来に少年も働くことになる真っ暗な炭坑の様子が交互に描かれているせいか、不思議と情感溢れる読後感を得られる。どんなに辛い、怖い仕事に就いていても1日の終わりに家族と共に海を眺める瞬間があるならばと思わせる後半の絵にグッとくる。とても良い絵本だよと周りに勧めたくなる一冊だ。2021/02/03
ぶんこ
68
涙は出なかったのですが、唇がキュッとなる。地道に穏やかに暮らす人々は凄いと感動します。家から見る海は美しい。その海の下、真っ暗な炭鉱で働くお父さん。おじいさんもそこで働いていて、亡くなった後のお墓は海の見えるところにしてと言ってました。明るい海とともにある景色の間に挟まる暗い海底の炭鉱。自分はそこで働きたくないというのではなく、祖父や父を尊敬しているからこそ、自分もそこで働くとしている子ども。人ってすごい。2021/08/24
とよぽん
62
祖父、父、そして近い将来に僕も海の下の炭鉱で石炭を掘る。夢や挑戦とは縁のない貧しい労働者は、職業の選択もままならない。そんな時代があった。今も? 近景と遠景の描き分けが巧みな絵だが、海の下の炭鉱は真っ暗で恐ろしい世界だった。2021/01/04




