内容説明
鉄のキリンのじいさんは、船から港へ荷を移す仕事を長年続けていた。ある日、母親のもとへ帰りたがっている男の子を救うために、その長い首に男の子をのせて、大海原へと踏み出すが…。大阪国際児童文学館主催日産自動車協賛、第25回ニッサン童話と絵本のグランプリ童話大賞受賞作品。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
pino
56
小学校の図工の時間に画板を抱えて近くの海にスケッチに行った。校区が工業地帯だったので、目の前にはコンビナート、煙突から煙がもくもく。海も虹色だ。なので、この絵本に登場する港の風景やクレーンの鉄のキリンのじいさんがとても懐かしかった。油まじりの海と絵具の匂いがよみがえる。少年がキリンのじいさんと海を渡る場面では、阪急フェリーで大阪に行ってた頃を思い出す。船から見る夜の海は怖かった。本の内容からは離れてしまったが、私が持つ海の一つのイメージを思い起こしてくれた。綺麗な海で魚が楽しく暮らす未来を想像してた事も。2012/07/12
メタボン
10
☆☆☆ 想像力の豊かさを感じる。鉄のキリン(クレーン)は海の中で立ちつくす灯台となり幸せな余生を過ごしたとさ。2015/01/03
がる
8
第25回ニッサン童話と絵本のグランプリ絵本大賞受賞。 悲しい結末を想像してしまったのだけれど、ハッピーエンドで安心しました。それでも、ちょっとだけ切なさが残りました。 「神さまが、この子を、親のところに返してやれといっているのだ」 善い心があったとしても、こんな風に実行することは難しく、勇気がいることです。 良い絵本でした。2011/09/04
ヒラP@ehon.gohon
6
港で働くクレーンが鉄のキリン。 そのキリンのじいさんが人さらいから逃げてきた男の子を背に乗せて、男の母親の住む国を目指して海を渡ります。 切なさと思いやりのあふれたファンタジーです。 でも、違和感を覚える部分があります。 しかしそれを包み込んでしまうものがあります。 海中で身動きの取れなくなってしまった鉄のキリンのじいさん。 それでも満足そうに海の中に立ち続けています。 作者がキリンに寄せる思いが伝わってきました。2010/06/23
遠い日
5
港で働く鉄のクレーンのキリンのじいさん。悲しい境遇の男の子と出会い、海へと乗り出す。男の子との心の交流が、切ない。動けなくなっても、海の中で立ち続けるキリンのじいさんと、成長した後も片時もじいさんのことを忘れなかった男の子が再会を果たす場面は、じんとする。じいさんの生ききった人生が輝いている。2014/10/02
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