内容説明
中国の楚の時代、項羽と劉邦の戦いがあった…。不思議な老人が語る伝説的な英雄の最期と、赤く美しい虞美人草のいわれ。能「項羽」の物語。
著者等紹介
片山清司[カタヤマキヨシ]
観世流能楽師。1964年、京都府生まれ。父は九世片山九郎右衛門(人間国宝)、祖母に故四世井上八千代、姉は五世井上八千代といった能と京舞の芸能の家に育つ。幼少から父に、長じて故八世観世銕之亟に師事。5歳で初舞台以来、全国にて様々な演能活動を行う。最近では舞台制作や海外公演のプロデュースも手がける。平成8年度京都府文化賞奨励賞、平成14年度京都市芸術新人賞、平成15年度文化庁芸術祭新人賞を受賞
白石皓大[シライシアキヒロ]
日本画家。愛媛県西条市生まれ。多摩美術大学美術学部日本画科卒業。日本美術院院友。1971年、院展に「倉敷」初出品・入選。以降、院展・春展に出品を続ける。森田曠平に師事。古事記などをテーマとして作品を描き続けている
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感想・レビュー
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☆よいこ
72
絵本。「項羽と劉邦」の項羽が追い詰められ、敵勢に囲まれたとき聞こえてきたのは、項羽の故郷である「楚」国の歌だった。「四面楚歌」の逸話の場面。虞美人が最後の舞を舞い自害して果てて、怒りにかられた項羽はひとり敵陣に突っ込んでいく。追い詰められた項羽は川岸に逃げ込むが、たった一人の老人が自分を信じてくれたことに心を揺さぶられ、人間性を取り戻す。最後は、故郷の幼馴染に手柄を得させると言い残し自害する。▽一番のクライマックス盛りだくさんだが、読み聞かせ7分、よくまとまっている。▽中学校の故事成語の授業で紹介する。2022/02/22
gtn
16
従軍の裏切りにより一人になった項羽。烏江の川べりで小舟を繋いでいた老人と出会う。世に正しいことをしようとした貴方を死なせる訳にいかないと、舟で逃げることを促す老人。その老人の姿に、心安らかにし、劉邦に抗うことをやめ、死の覚悟を決める項羽。たった一人でも信じてくれる人がいれば、自らの人生を肯定できる。はた目には敗北だが、本人は最高の幸福感を味わっているのかも。2024/12/17
絵本専門士 おはなし会 芽ぶっく
13
能「項羽」は、中国の伝説の英雄項羽の生涯を演じているそうですが、こちらの絵本は項羽と虞の絆と愛情を描かれてます。あとがきの解説を読んでいて、四字熟語の「四面楚歌」は、項羽のお話から生まれた言葉なのを知りました。虞美人草も調べたら、本当にある花で馴染みやすい花名は「ひなげし」でした。2020/10/24
つき
11
項羽と虞美人は、誰かに自分たちの最期を知ってもらいたかったということか。虞美人草のいわれや、四面楚歌などの有名な言葉を生んだ垓下の戦いの物語。2018/04/28
lovemys
4
項羽と虞美人の絆が素敵。イラストも素敵。色味も素敵。遠い国の遥か昔のお話だけど、何だか身近に感じられる。色々なドラマを想像してしまうな。弟くん(小4)と一緒に。2020/08/27