内容説明
天から鼓がふってきたゆめのあとに、生まれてきた男の子。少年天鼓と美しい音色の鼓がたどる悲しい運命、そして音楽がとりもつ父子のきずなを描く、能「天鼓」の物語。
著者等紹介
片山清司[カタヤマキヨシ]
観世流能楽師。1964年、京都府生まれ。父は九世片山九郎右衛門(人間国宝)、祖母に故四世井上八千代、姉は五世井上八千代といった能と京舞の芸能の家に育つ。幼少から父に、長じて故八世観世銕之亟に師事。5歳で初舞台以来、全国にて様々な演能活動を行う。最近では舞台制作や海外公演のプロデュースも手がける。平成8年度京都府文化賞奨励賞、平成14年度京都市芸術新人賞、平成15年度文化庁芸術祭新人賞を受賞
小田切恵子[オダギリケイコ]
日本画家。東京都生まれ。女子美術大学芸術学部絵画学科卒業。日本美術院院友。森田曠平、伊藤髟耳に師事。日本画の伝統をふまえながら今日的画風を持ち、さまざまま場で活躍。院展15回入選、春の院展15回入選
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感想・レビュー
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Smileえっちゃん
38
中國のお話、図書館本。子供のいない夫婦、仏様に祈り続け天から鼓と共に男の子が授かり天鼓と名付ける。天鼓の鼓の音色が素晴らしい事が帝の耳に入り自分のものにしようと役人を送る。鼓を持って逃げた天鼓は鼓を奪われ呂水に沈められる。やっと授かった子が処刑される親の気持ち…誰が打っても鳴らなかった鼓、父親の子供を愛おしむ気持ちが通じたのでしょう。再び鳴り出しその音色に誘われ、天鼓が現れ喜びで鼓を打つ。片山清司さん、能楽師だったのですね。あとがきから、命の鼓と再び巡り合えた彼の喜びを思い出しながら演じられているとか。2023/09/19
shiho♪
21
図書室絵本。元図書館のリサイクル本。能の絵本って珍しいなぁと。お話自体は中国の昔話で、『スーホの白い馬』を彷彿とさせる切ないお話。実際の能の舞台ってどんな風なんだろう、とちょっと興味が湧きました。2022/11/16
pino
12
「能」の本。天鼓は、両親が仏様に願をかけて、やっと授かった男の子です。生まれた時、空から降ってきた鼓を大切にしており、天鼓が打つと、すばらしい音色を奏でます。その鼓をほしがった帝の命にそむいたために、河に沈められてしまいます。その上、父親は、帝に奪われたその鼓を打つために、宮中に召し出されたのです。我が子の鼓に触れたい思いが、帝の元へ行かせました。最後の場面で、天鼓が空から降りて無邪気に鼓を打つ描写が胸にせまります。昨今の子供たちの悲劇と重なり涙しました。天国でやすらかに。悲劇が起こらないように祈ります。2012/05/07
まげりん
7
能の絵本と可愛い男の子の表紙に惹かれて読んだ。全く為政者というのは自分勝手だ。「スーホの白い馬」を思い出した。無邪気に踊る仕舞をみたいな。宝生流にあるのかな?2017/03/07
まげりん
5
小3三女と読む。スーホみたい」という感想。だからかもしれないが、つい比べる。スーホほどの力がないのが惜しい。素敵な話なのに、文に力がない。もったいない!!2017/03/07