内容説明
嵐の夜、携帯電話も持たずに車を運転していたフェイスは、見渡すかぎりサトウキビ畑がつづく場所で道に迷ってしまう。悪夢のような暗闇のなかを走っているとき、車の前を横切ったなにかをはねた気がしたが、車外に出てもなにも見えず、ただ自分は疲れているだけと必死に言い聞かせる。ようやく明かりが見えたものの、行き着いた先は人っ子ひとりいない寂れた通りだった。そしてそこで、何者かに車の窓ガラスを叩かれ、助けを求められた。ガラスに顔を押しつけ、外になにがあるのかを見ようとした瞬間が、フェイスにとって本物の悪夢の始まりで―。
著者等紹介
ホフマン,ジリアン[ホフマン,ジリアン] [Hoffman,Jilliane]
かつて、地方検事補として家庭内暴力課や犯罪人引き渡し法務課の特別担当検察官を務めたことがある。その後、フロリダ法執行局の地域法務アドバイザーを務め、麻薬、殺人、組織犯罪などの複雑な捜査に関して特別捜査官たちに助言した。ニューヨーク、ロングアイランド出身
多田桃子[タダモモコ]
神奈川県生まれ。明治大学農学部卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yumiDON
37
嵐の中、暗闇のサトウキビ畑で主人公フェイスは何かを車ではねてしまう。しかし、地面には何もいない。そのまま家路を急ぐように車を走らせ、寂れた町に入ると、車の窓を叩く影。「もしあの時、車のドアを開けていたら」という帯に見事に煽られ買ってしまった。フェイスはスリラーのヒロインのような位置付けなのだが、不完全で弱く脆い。彼女を襲う困難の数々にひたすら打ちのめされ、読んでいて胸が痛くなる。救世主もいないし、自分で道を切り開くこともできないフェイスから目が離せず、呼吸が苦しいまま読了した。2016/09/10
コウ
2
胸の奥をぐっっ…と抉られる一冊。事件も凄惨だが、それ以上に人物描写が素晴らしく、人間の“不安”を揺すぶってくる。「元通り」がなによりも難しいことを教えてくれ、それでも生きていかなければいけない罪を知らされる。語りたいことが山程あれど、読んでる人にしか伝わらないだろうからもどかしい。2020/07/16
Tomoyuki Yamazaki
2
夏の終わりにサイコを読みたくてこの物語を選んだんです、涼しくなれるかと思って。だけどこの物語はちょっと違って・・・。嵐の中を運転していた母は偶然殺人現場に出会す。だけど怖くなってしかも同乗の娘を守ろうと思って現場から逃げ去った、そして警察へ通報もしなかった。そこから始まる後悔と崩壊の物語。作者は元検察官らしく裁判シーンの描写はリアル。だけど期待したサイコでなく。そして今回、翻訳モノは初めて読んだ。登場人物がカタカナだと読んでイメージするのが難しい。もっとよいのもあるはずで次も翻訳モノにいってみます!2016/09/28
春夏秋
1
あんな状況で助けを求められたら私も逃げてしまいそうで怖い。2018/03/11
まひる
1
怖い。 とにかく怖い。 ページをめくって先を見届けないと、と思わせる。 始まりはほんの少しの交通違反。それを隠そうと嘘をついたがために、どんどん深みにはまってしまう主人公。 この設定はシュチエーションが違えど誰にでも起こりうると思われる。そこもまた怖い。 けれど、最後はほっとします。 グロテスクなので、苦手な方にはオススメできません。2016/08/06