内容説明
爵位や財産には興味がないセントジャストだったが、彼は国王から伯爵位を授かった。与えられたヨークシャーの領地は、管理されておらず荒れ果てているうえに、敷地内には以前そこをおさめていた伯爵の庶子である女児がうろついていた。その子ども―ウィニーの父親が死んだのは、セントジャストのせいだった。彼女の面倒を見ているのは、屋敷の近くに住むパン職人のエミーだ。不格好なドレスに冴えない髪形なものの笑顔が美しいエミーは、ウィニーの親戚だという。父親を奪った罪滅ぼしに、ウィニーには必要なすべてを与えたい。セントジャストは、エミーに住みこみの家庭教師になってほしいと頼み―。
著者等紹介
バローズ,グレース[バローズ,グレース][Burrowes,Grace]
メリーランド州の小さな町在住。児童福祉法を専門とする弁護士として働きながら、執筆活動をしている
芦原夕貴[アシハラユウキ]
東京生まれ。早稲田大学法学部卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
日夏
19
彼は苦しんでいた。国の為に戦った歳月から未だ解放されず、記憶にある自分には戻れないと思っていた。庶子であり軍人であった自分が伯爵領を得てどうするというのだろう。それでも義務は果たさねばならない。そこで出会った前伯爵の忘れ形見とその子を世話する女性。荒れた領地の立て直しと共に彼女達との関わりが彼を癒していく。戦争の惨さ、醜さを知る英雄が人間らしさを取り戻していく再生譚。『伯爵の求婚』で斜に構えたクールな継兄が意外な一面を見せるモアランド公爵息子シリーズ続編。個人的にはアメリー子爵が好きです。 2019/07/23
oneoeight
5
その出自から村人からつまはじきされている地味ヒロインと器用で万能なお堅い軍人ヒーローと屋敷に残された女の子とのお話。戦争で負った心の闇を振り払えないヒーローは好みの感じだったけど、ヒロインが村人からの悪い評価を粛々と受け入れてる所が気になった。明かされたヒロインの過去もワタシ的に納得できず微妙な後味(-"-;A でも派手な冒険ではなく心打つ感動巨編でもない限りなく地味な所にこの作者さんのセンスを感じる。次回作に期待♪ アップルパイおいしそう度☆5、また読みたい度60%2012/08/13
romance_holic
3
前回ヒロインの兄としても人としてもどうしようもないヤツだったヘルムズリー。諸事情からヒーローがその跡を引き継いだのですが領地には問題山積み。そこで働くヒロインは結構かたくなで、最初は身分差のせいかと思っていたけれど…。 ヒーローは元軍人。どんな状況でも戦い続ける人。ただPTSDにも悩まされ、過去との折り合いに苦しんでいます。自分と同じ庶子のウィニーに優しく接し、荒れた領地を整え、気持ちも癒やされていき、自分には絶対に彼女が必要だという確信に近い気持ちが伝わってきて、すごく読んでいて心地よかったです。2012/09/28
suiu
3
途中までは楽しく読んだんだけど、展開が読めてきてからヒロインがことさらグズグズめそめそしだして、ヒーローはよく付き合ってやったよ。 後半こんなに引き延ばさずに、親子でいちゃいちゃするシーンが欲しかった。 じめじめした話だ。2015/12/12
sin
3
ものすごい胸キュンシーンがあったわけではないけれど、2人の仲がどう進んでいくのか ウィニーの行く末はどうなるのか飽きずに読み進めた。それぞれに過去の傷を持ち、それゆえ相手にはふさわしくないと・・・。お互いに心の内をさらけ出し、ハッピイエンド。2013/09/13