内容説明
1907年、最年少でノーベル文学賞を受賞した英国の作家ラドヤード・キプリング。『オリエンタリズム』以降、さまざまな角度から読み直されているキプリングの作品を、時代を映した「表象のテクスト」として読む。
目次
第1章 ペットになった“動物/人間”たち―放浪者たちの記憶(愛玩動物としてのオランウータン;「ペット」をめぐる愛玩のパラドクス ほか)
第2章 キプリングとマダム・ブラヴァツキー神智学(融通無碍に変容する“東洋/西洋”折衷思想;反ダーウィニズムの霊的進化論―宙吊りにされた哲学、科学、言語学 ほか)
第3章 光学器械・帝国・夢―肉眼でみる/心の眼でみる/夢をみる(一九世紀英国心霊主義の台頭;光の戯れが引き起こす時空感覚の喪失―知覚と錯覚の中間領域 ほか)
第4章 メスメリズムにみる「実験室」としての英領インド―帝国の権力と無力化した文化(植民地支配にみる恐怖と欲望;植民地インドの縮図 ほか)
第5章 癒されない者のパラノイア・ファンタジー―衛生と戦争と女性たち(家内衛生運動における医者の位置;キプリングの“不健康な家” ほか)
著者等紹介
上石実加子[アゲイシミカコ]
1969年生まれ。筑波大学大学院文芸・言語研究科博士課程修了。博士(文学)。現在、北星学園大学文学部専任講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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うにこ。
3
作品論と、作品に織り込まれた時代を読み起こしての、19世紀末から20世紀初頭にかけての時代論…文化論? 世相論? そういう意向です。 2章までは作品より時代に関しての言及が強い気がしていまいちのめり込めずにいたんですが、3章からは読んだことのある短編も取り上げられ始めて、一気に面白く。 読みやすくてスルスル読めます。短編への言及のみだったのが残念ですが、これはこれでいい。 面白かったです。2009/06/07
ヴェルナーの日記
2
キプリングの作品の中で「ベルトランとビミ」、「ダーナ・ダのセンディング」、「ブラッシュウッド・ボーイ」、「スドゥーの家にて」、「獣の印」、「妖精の箱」、「塹壕のマドンナ」、「園丁」などを取り上げて、ペットをめぐる愛玩のパラドックスや、キプリングと神智学(ここでは反ダーウィニズムの霊的進化論とする)との関わり、夢に対するフロイト的考察。メスメリズム(神秘的な治療法)といった観点からキプリングを批評している。著者のあとがきにもあるように、従来のキプリング批評とは違った観点から論じているので興味深かった。2014/09/11




