内容説明
未公開資料を中心に『十五少年漂流記』の翻訳で名高い明治の翻訳王・文学者森田思軒の全貌をあますところなく掘り起こし、新しい時代の光を当てることで、その明治文化創造に果たした役割を検証した。翻訳文学研究者、児童文学研究者、明治文化史研究者必見の図録集。
目次
第1部 森田思軒とは…(当代きっての人気作家;フランス人道主義の紹介者;児童文学のパイオニア;気鋭の批評家;明治文化の創造者)
第2部 森田思軒その生涯・業績・交友(誕生;少年期;啓蒙所;慶應義塾;興譲館 ほか)
備中国笠岡―森田家三代とその周辺
明治二十年代の思軒愛読者―正宗白鳥の場合
感想・レビュー
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スターライト
4
明治期にジュール・ヴェルヌなどの翻訳で知られる森田思軒について、その人はもとより彼と交流のあった人物らとからめ、遺族から提供された資料をもとにした伝記。図版が豊富なので、目でも楽しめる。翻訳・小説にとどまらず、報知新聞などの新聞社に勤めながらジャーナリストとしても活躍し、また演劇にも興味を示し、劇評家としても知られていたという。立憲改進党に入党し、演説などもおこなったようだが、本書ではその辺りは最小限の記述にとどまっているので、政治家としての思軒も知りたい気がした。2014/11/07