内容説明
1990年代に本格化したネイチャーライティングという現象を、交感論と表象論の視点から読み解く本格批評、ついに単行本化!人間中心主義から環境中心主義へ―地球環境問題が迫るこの大転換は否応なく、自然をめぐるポストロマン主義の方位を指し示す。
目次
1 自然をめぐる現在―交感(“交感”の意匠―エマソン、ソロー、アニー・ディラード;魔法の瞬間、あるいは“他者探し” ほか)
2 ロマン主義のまなざし―表象(絶望の地理学―エミリー・ディキンスンの自然詩をめぐる一視角;“完全な視覚”を求めて―エマソンの眼球譚 ほか)
3 表象を越える(表象と現存―現代ネイチャーライティングの方法的懐疑;自然から神話へ―ネイチャーライティングの問題域 ほか)
4 ネイチャーライティングの方位(背後なき自然―ネイチャーライティングからの問い;研究の動向 ほか)
著者等紹介
野田研一[ノダケンイチ]
1950年生まれ。立教大学大学院文学研究科修士課程修了。札幌学院大学、金沢大学を経て、1997年より立教大学(観光学部、異文化コミュニケーション研究科、文学研究科)教授。1994年~2000年までASLE‐Japan/文学・環境学会代表を務める
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感想・レビュー
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ハチアカデミー
6
ネイチャーヒストリー(博物学)を祖父に持ち、ソローの『ウォールデン』を父とするネイチャーライティングという視点は、人間と自然の幸福な出会いではなく、絶対的に共感不可能な存在、絶対的他者である存在を明らかにする。それは人間が一方的に見るものであり、交感(コレスポンダンス)することしか出来ない。しかし人間は、自然と交感することによってその他者と共存してきたのだ。科学的見地からは到達できない、人間と自然を巡る哲学・思想であることこそが、ネイチャーライティングの魅力である。2012/08/24
kana0202
1
たいへんイイ。人新世が言われるようになって久しいが(西洋では20年前くらいから言われていたそうだが)、それとも関わるだろう。文学と自然に興味がある人はぜひ。2021/07/12
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- 和書
- たったひとり