内容説明
千石の旗本・平石家の三男坊圭次郎は、家でも町でも持て余される「厄介」者。奔放な若者だが、喧嘩の仲裁をしたり、弱い者を助けたりと、町方からは好かれる存在だ。ある日、浪人たちと大立ち回りの末、目付に捕まってしまった圭次郎は、ついに勘当されてしまう。玄冶店の一軒家に移り「腕貸し業」で暮らしを立てはじめた圭次郎は、隣家の煮売り屋夫婦、向かいの浪人親子などの人情に助けられ、なんとか糊口をしのいでゆく。だが、そんな彼に一人の侍から妙な依頼が舞い込んだ。とある石問屋とそこにつながる材木石奉行のようすを探れというのだ。不審を抱きつつ探りをはじめた圭次郎だが、その裏には汚職の構図と、ある人物の思惑が浮かび上がってきて…。
著者等紹介
氷月葵[ヒズキアオイ]
東京都生まれ。出版社勤務などを経て、フリーライターとして独立。秋月菜央の筆名で『虐待された子供たち』(二見書房)、福知怜の筆名で『タイタニック号99の謎』(二見書房)など、歴史、心理、ドキュメント系などの著書を多く執筆する。2006年、第四回「北区内田康夫ミステリー文学賞」において「師団坂・六〇」(筆名・井水怜)で大賞を受賞したのち、2013年「公事宿裏始末 火車廻る」で時代小説家として本格デビュー。以後、意欲的に作品を発表している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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はつばあば
38
旗本・平石家の三男坊圭次郎とその仲間、三男ともなれば冷や飯喰い。しかも親は自分に似た長男次男を愛でもするが・・三男ともなれば厄介者。それを名のごとく「厄介」と。折りしも矢場で無体を働く浪人共を撃退した圭次郎たち3人。捕縛されたことから勘当になりしもこの父親、目付と裏取引を。それでもいい叔母と妹に恵まれました。腕貸し稼業なんておいそれとできるものではありません。剣の腕も必要だし字も書けねば、計算もできねば。そして目付の探索としての技量も。となれば面倒だが父親の育ててくれた恩も感じねば(ーー;)。次巻へ2022/06/20
ひさか
6
2019年12月コスミック文庫刊。書き下ろし。シリーズ1作目。長編。男気を出して友を助けた圭次郎は、勘当になり、暮しのために腕貸し稼業を始めることに…。という若い武士の市井ものストーリーで、目付の手伝いもあったり、興味深い展開で、それなりに楽しめました。次回も楽しみです。2020/11/06
あき
1
旗本の冷や飯食いの三男坊が勘当になり、何でも屋をやりながら目付の探索に手を貸す。面白いけど、御庭番の二代目との差別化がイマイチ出来てないというか、あちらのシリーズの主人公が出世して出来なくなったことをこちらでやってるという印象。2020/12/19