内容説明
二十八歳という若さで町方同心の花形、定廻りに抜擢された浅羽啓次郎。旗本の名家に生まれ、剣術遣いというわけありな同心ではあったが、ものを見てとることが好き、という性分を活かした観察力と洞察力は、南町奉行・松波筑後守でさえも認めているという、期待の新鋭であった。その啓次郎が、とんだ“拾い物”をした。記憶を無くしてしまった一人の女性である。言葉や態度から武家女、しかも江戸者ではない、と判断した啓次郎だが、その脳裏には、腰元など国元の者がわざわざ出てきた、すなわち「御家騒動」という話が浮かんでは消える…。その危険な探索に、町奉行は三日の猶予を与えた。さて、非番となった啓次郎、いかなる推測を閃かせるのか!同心の剣捌きも冴える異色の捕物シリーズ!!
著者等紹介
志木沢郁[シギサワカオル]
早稲田大学教育学部国語国文学科卒業。学生時代より能(金春流)、狂言(和泉流)、弓道(日置流)などに親しんで今日に至る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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真理そら
12
楽しい登場人物が増えて嬉しい。でも次作までしかないんだね、さびしい。記憶喪失とか藩主の死因とか現代的な要素もあって楽しめた。2018/05/19
M2
4
前作に引き続き今作も楽しく気持ちよく読めた。啓次郎も前より成長した感じだし、八郎さんや次郎吉さんとか魅力的な登場人物も増えたし。そういえば山瀬惣五郎さんて前巻に出てきたっけ?普段は何事にも動じないたきさんが焦る姿も見ることができたのも楽しかった。2019/02/12
ウォーカージョン
2
面白かった。正統派の時代物。 2022/06/08
山内正
2
通り掛かった喧嘩を止めに入り 仇だという若者、相手は北町奉行所 同心と分かる、兄が無実で番屋で死に罪を晴らしたいと 啓次郎は調べる内北町奉行所が 難癖を付けてきた 兄が勤めてた店 の女房に前妻の息子と仲間に殺され ていた 奉行所に納得さすため 啓次郎は踏み止まる。2018/04/17
のんぶぅ
1
旗本の次男坊が町方同心・浅羽勘五郎の縄目に遭い、勘五郎にわけありの養子となった啓次郎。義父の同僚であった梅田格之進に怒鳴られ鍛えられながら務めているが、義父は養子に際しては並々ならぬ要慎と注意を怠らず注意深く見守っていてくれるが、卒中で在宅介護を受けている。剣は凄腕で観察力と洞察力で、奉行も認める定町廻り同心本勤並ってどんな職階なんでしょうかいね。 今後の、登場人物や啓次郎の剣捌きにも期待しつつ。2016/04/09