内容説明
北町奉行所吟味方与力助・鼓晋作は、江戸町会所七分金積立の使途不明金を探索していた。七つの町を取り締まる平名主・逢坂屋孫四郎を横領の疑いで詮議立てする直前に、孫四郎雇いの書役である藤吉が、姿をくらました。さらに藤吉の住家で、惨殺され血塗れの双親と女房の無残な死体が発見され、まだ乳飲み子の姿が消えていた。この一件は、お調べの手が迫り、使い込みの発覚を恐れた藤吉が錯乱し、一家無理心中を謀ったあと、小名木川に身投げしたとして処理され、藤吉ひとりの仕業として一件落着された。だが、事件から十一年後、使途不明金に関わりのあった者らが次々と殺されてゆく。情けと剣の傑作長編時代小説。全面改稿のリニューアル版!
著者等紹介
辻堂魁[ツジドウカイ]
1948年、高知県生まれ。早稲田大学文学部卒業後、出版社に勤務。その後、退社して本格的に文筆業に入る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶんぶん
10
吟味方与力の推理、複雑に絡まった事情、見事に刷りあわされた時、爽快な感動が! 理不尽な藤吉の思い、悪行の上にのうのうとしている極悪人、正そうとして正せぬご政道、最後は「花嵐」か・・・ 辻堂魁の作品にはほろ苦い爽快さがある。 二刀流の修練に十一年間、藤吉の恨みの深さ、用意周到の考え方、良く書けていると思います。 隠密廻り同心・谷川礼介の再登場が待たれる。2016/07/31
kazukitti
5
辻堂さんのは、まぁ本当にクソヤロウがクソヤロウwなんで、話のオチでクソヤロウっぷりが高過ぎてカタルシスうっすいなーって展開があって、これなんか割とそんな感じ。市兵衛シリーズが人気なのはソコのバランスがいいからなのかもね。最期にクソヤロウ共が風の剣劇場でバッタバッタというかw スッキリし過ぎないのも味があってそれはそれでいいんだけどねw これ読んだ後に旅人ゲストものが続くんだけど、話作りやすいのかしらねw2023/03/23
めにい
5
すべて予定調和のあまり波乱のない物語。とはいえ辻堂さんの透明感のある文章は心地よい。2015/06/18
天笑院たか姫
3
江戸町会所七分金積立の使途不明金の探索をしていた吟味方与力助・鼓晋作。そんな中、横領の疑いのある平名主・逢坂屋孫四郎の書役・藤吉が姿をくらます。人間の欲深さが計り知れない。そんな者が4人も集まり、ぬれぎぬを着せられたら、ひとたまりもない。藤吉一家が哀れで仕方なかった。最期、一目お染と会わせてあげたかったです。2015/08/23
山内正
2
吟味方与力鼓晋作は町方の修復費百十三両の不明金を質す為町方に聞く が帳簿と書いた小者が何者かに斬られ係の同心ニ人と名主等が不問となる 事件は未決のまま十一年がたち かの同心ニ人と名主が殺された 若い時の事件が晋作を思い出させ 斬られた藤吉が最後に与力の佐藤を狙う 怒りの復讐! 2018/07/05