内容説明
母方の伯父である北町奉行・遠山景元に直に命を下され、隠密廻りを務める轟三四郎。想い人と添うために旗本五千石の家督を弟に譲った三四郎は、二十三歳で隠居して薬草作りに勤しむ変わり種だ。仙台堀今川町の大店米問屋が盗賊に押し込まれ、千八百両余が奪われた。だが、奉公人や捕り方に追われ、大川へ逃走を図った賊の小舟は追っ手の見守る中で転覆。三人の賊と二つの千両箱は水底に沈んでしまう。必死の川浚いが行われたものの、賊と小判の行方は杳として知れなかった。犯人の手掛かりを探るうち、七年前にも同じ深川でそっくりな事件が起きていたことを知った三四郎。関係者を次々に洗い出してゆくなか、辿り着いた真相とは…。好評書下ろし第二弾。
著者等紹介
千野隆司[チノタカシ]
1951年、東京生まれ。國學院大学文学部卒業。90年、『夜の道行』で第十二回小説推理新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ナツメッグ☆
1
まず旗本五千石の大身をすて惚れた女と所帯をもって二十三歳で「隠居」というのが面白い設定。この設定が「隠密同心」としての探索の中でいろんな意味で活かされるのがイイです。水底に沈んだ千両箱の謎は、えっという感じ。黒川屋が犯人一味とつながっていたら、面白かったのでは。伯父さんの陶山の金さんが、三四郎と一緒にじゃんじゃんと活躍する場面を期待してます(笑)。2012/05/04
ひさか
0
シリーズ2巻め。先にこちらを読んでしまいました。ストレートな筋運びは少し物足りなさを感じましたが、地道な捜査による、事件解決と関わった人達のハッピーエンドに好感が持てました。2013/12/15
M2
0
三四郎と小菊夫婦の穏やかで優しい夫婦愛、ナオとの温かな関係に今回も癒されました。独楽吉がお気に入りキャラなので彼の活躍も嬉しい。それにしてもこのシリーズ、千両箱綺談帳と呼んでもいいような。次回も千両箱絡みの謎が出ることをこっそり期待しています(笑)2012/06/05