内容説明
おりんは呑んだくれの亭主を叩き出して以来、独り身を続ける二十三歳。このところ按配の悪い父親に代わって、一郎太とともに千住の植木屋「植銀」を支えている。一郎太はおりんの姉婿の南町同心・当麻克之進の手先も務める住み込みだ。定廻りの克之進は凡庸ではあるが、おりんたちの前でも侍風を吹かせることはない心の広さを持った男。おりんはそんな克之進をあに様と慕い、一郎太もおりんに劣らず心酔しているのだ。続けざまに起こる非情な殺人、愛憎ゆえの哀しい科、武士であるがゆえに護らねばならない矜恃…。人々の織りなす心のあやを解き明かし、克之進とおりんたちが辿り着く、事件の真相とは。
著者等紹介
松乃藍[マツノラン]
東京生まれ。常盤新平、故・半村良らに師事し、文筆活動を続ける
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