内容説明
三年前、茜は夫の雅之とそれぞれの子供を連れて再婚した。母は娘を、父は息子を。だが、幸福は長くは続かなかった。夫は次第に家庭を顧みなくなり、娘の浩美も家出を繰り返すようになってしまったのだ。信じられるものを失い、孤独に堪えかねた茜は、自分を慕う義理の息子の孝之をついに女として受け入れてしまう。そんなある日、浩美が妊娠・堕胎したことを知らされた茜に湧いた小さな疑惑。それは夫の雅之を疑うものだった。背徳の絆に溺れる茜たちと同様に夫と娘も?膨らむ夫への疑惑、娘への不信。だがそれは崩壊の道への序章にすぎなかった…。交錯する二組の禁断の情愛に潜む陥穽を精緻に描く書下ろし長編エンターテインメント。