内容説明
植民地教科書には、日本がアジア諸国の人々をどのように見ていたのか、その上で、いかに植民地として支配しようとしたのか、その考えと手法が端的に描かれている。本書は、台湾、朝鮮、満洲、南洋群島、東南アジア諸国における植民地教育を日本の教育の歴史に内在させて考え、日本近代教育の真実と今後のあるべき姿を追求する試みである。
目次
日本の植民地教科書には何が描かれていたのか
第1部 植民地と「日本人化」(公学校用国語教科書による台湾人の「日本人化」―教材の「内地化」と「台湾化」に着目して;台湾の子どもたちを、「日本人」にしようとした音楽の教科書―台湾総督府発行国民学校芸能科音楽教科書の分析から;植民地朝鮮の国語教科書がめざした「日本人化」―芦田恵之助が編纂した『朝鮮読本』から;「科学性」から「政治性」重視へ変貌する日本統治下朝鮮の地理教育;南方占領地の「日本化」教育―ビルマ・インドネシア日本語教科書から;補論 教科書の中の植民地主義と人種主義)
第2部 植民地と「新教育」(植民地台湾における学校劇;日本統治期台湾の公学校裁縫教育と新教育―木下竹次の裁縫学習法を手がかりとして;満洲の子どもを「新教育」で育てる―教育雑誌『南満教育』の分析を通して;「満洲新教育」の構造―『満洲補充読本』の改訂を手がかりに)
第3部 植民地と「近代化」(教科書にみる植民地台湾の疫病、衛生、医療と近代化;植民地朝鮮ではどのように農業を教えようとしたか 稲にかかわる理科との連携を中心に;「満洲国」国民高等学校実業教科書編纂の思想的背景;南洋群島の「近代化」と熱帯農業―第四次『南洋群島国語読本』の理科教材を通して;台湾・朝鮮・南洋群島教科書に描かれた身体と近代化)
著者等紹介
佐藤広美[サトウヒロミ]
1954年北海道生まれ。東京都立大学大学院博士課程修了。現在、東京家政学院大学教授、日本植民地教育史研究会代表
岡部芳広[オカベヨシヒロ]
1963年大阪市生まれ。神戸大学大学院総合人間科学研究科博士後期課程修了。博士(学術)。現在、相模女子大学学芸学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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