内容説明
死の2日前まで書き続けられた手稿『確実性について』を「スレッド‐シークェンス法」をもって分析し、ウィトゲンシュタイン最後の思考を解明する。著者の哲学研究の原点。
目次
『確実性について』の体系的理解という課題
第1部 スレッド‐シークェンス法の発見―『確実性』の体系的読解の試みの中で(シークェンス分析という方法とその起源―『確実性』第1部、第2部の主題と構造解明の試みを通じて;「シークェンス分析」の限界―立ちはだかる難問としての『確実性』第3部;「スレッド(思考の糸)」という概念の発見とスレッド‐シークェンス法の確立―『確実性』第1部の再分析を通じて)
第2部 スレッド‐シークェンス法による『確実性について』の思考の解明(『確実性について』第2部の主題と構造の解明―スレッド‐シークェンス法の本格的適用;『確実性について』第3部の思考運動の解明―スレッド‐シークェンス法による解析)
第3部 ウィトゲンシュタイン最後の思考(『確実性について』第4部:§§300‐676を巡って;『確実性』第4部のテキスト構造とスタイル)
著者等紹介
鬼界彰夫[キカイアキオ]
1954年、京都府生まれ。1990年、京都大学大学院文学研究科博士課程研究指導認定退学、Ph.D.(ニューヨーク市立大学)。現在、筑波大学大学院人文社会科学研究科名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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またの名
8
どちらかと言えばヴィトゲンシュタインの著作の内でもマニアックな確実性論考を素材に、メモ集でしかない断片群を理解するためのスレッド・シークエンス法を提唱し適用する研究書。いくつものテーマスレッドが同時進行で各自展開しては時折合流したり再び分割されて大きな思考の流れをシークエンスとして構成すると考える方式はあらゆる思考活動の産物に広く適用できるだけに、ヴィトそれも確実性論考を対象にする必要性が不明確。各言語ゲームがそれぞれ前提にしている一定の疑い得ない確実な命題が確実性を失うという主題をこそ、もっと聴きたい。2020/08/13