出版社内容情報
詩人でもあり、自らハンセン病と向き合う著者が綴った長編詩。作者の死ぬために生きた青春から旧植民地・朝鮮、延辺と抗日運動についてなど、日本近代の暗部を描き出す。
「レプラ」はラテン語でlepra、ドイツ語でLepraと綴るハ ンセン病を意味することば。
「レプラなる母」については、詩人の村松武司に同名の評論がある。その中で在日朝鮮人の姜舜(故人)の言葉を紹介している。
「あなたは、ムンディ・オモニという言葉の意味がわかりますか? これはレプラなる母。そのためにいっそうなつかしく愛すべき祖国のイメージです」
序文より
「自分はここに、その病気におかされない人間としていきている。それではその病気に自分は無関係なのか。しかし、確実に、その病気にむけて、自分の首すじをとらえ、自分の両眼をその病気にむける、自分内部の力がある。そのはたらきが、この本をつくった」鶴見俊輔