出版社内容情報
祖母の葬式が終わり、家族で祖父の生家に向かった天宇(読み:たう)。母屋の蔵で、祖父が十代のころに書いた手記を見つけた。中学生だった祖父に興味をもち、「開くなら、あそこがいいな」と、町を見下ろす休憩所にやってきた。そこで出会った女性に「わたしがあなたなら、読むかもしれません」と、背中を押された天宇。
昭和二十六年八月と記された表紙が風でめくれると、こう書かれていた。
「あれから六年がたった。
……できるだけ正しく、あの年のことを記しておきたい。
だからまず、あの人との出会いを書かなければならない──」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
雪丸 風人
14
新たな戦争文学の金字塔。エモい!泣ける!みたいな言葉では言い尽くせないほど揺さぶられました。小6の少女が法事で出向いた地で、祖父の古い手記を見つけたことで、思いがけない歴史の一幕に触れることになります。この物語に出逢えてよかった!人間を狂わせる戦争の哀しさが、息苦しさを覚えるほどの臨場感で胸に迫ってきました。それでも、いま、読んで良かったと心から感じています。感情の奔流が止まらなくなったのは手記の結び。祖父が書き残した決意に胸を打たれ、物語を振り返りつつ静かに涙しました。(対象年齢は11歳半以上かな?)2025/06/15
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