出版社内容情報
――しーちゃん、あんな、ひとりぼっちと思ったらあかんよ。人は繋がってると思う。太いひもか、細いひもの違いだけや。細いのがいつ太くなるか、わからへん。うちとしーちゃんみたいにな。
小学4年生のしずりは、山間の稲穂村にくらしています。4月になって、しずりの心は浮きたっています。だって、ひと月前から村にバスがくるようになったのですから。バスは、しずりの知らない世界からステキな女の子を連れてきました。彼女の名前はメイさん。彼女は、村に知り合いのない旅のお方でした。ふたりは、すぐに仲良くなるのですが……。
内容説明
「しーちゃんと友だちになれてほんにうれしい」子どもも大人も楽しめる、知らない世界からやってきたふしぎさんとあたしのお話。
著者等紹介
中川なをみ[ナカガワナオミ]
山梨県生まれ。『水底の棺』(くもん出版)で日本児童文学者協会賞受賞。日本児童文学者協会会員
大野八生[オオノヤヨイ]
千葉県生まれ。造園家、イラストレーター。子どものころから、園芸好きの祖父とともに植物に親しむ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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はる
43
昭和30年代頃か。山の小さな村で暮らす4年生のしずりは、転校してきたメイと出会います。ひとりぼっちだったしずりはメイと友達になりますが……。孤独だった二人の少女の友情物語。小さな村社会ならではの排他的な古い価値観と差別。大人たち、子どもたちの会話から窺える、微妙な家同士の力関係がリアルですね。しずりの家も腫れ物を触るように扱われる存在なのが分かるのですよ。純粋な二人の少女の友情が美しい。2025/02/18
Theodore
0
表紙の絵からもわかる通り、20世紀の半ばころのレトロな話。田舎の村に住む主人公の元に、旅人っぽい転校生がやってくる…という話。絵を見た限りではヒロインはもっと大人なのかと思ったのだが…。個人的には苦手な部類の話。やたらとジジィどもが物わかりの良いキャラになっていて、逆に女キャラが悪者っぽい構図になっている。普通は男性がろくでなしで周囲の女たちが味方になってくれるのが筋なのでは? 主人公の周囲に魅力的な同性がいないのが非常に残念(ついでに男性も魅力がない)。2025/02/11
gero
0
村;異人;友情 サプライズ戦争ものかと思ってわくわくして読んだら違いました、が傑作でした。どこのいつとも知れぬ村に旅人がやってきて乾燥小屋に滞在します。村の名士のお嬢様は旅の者の娘と親友になり、少しだけ自由な視点を手に入れます。村では何をするにしても出自がついて回り、常に何者かを問われているみたいで息苦しい(でも素晴らしい絵の力でとても魅力的にも見えます)。そんななかでバスだけが脱出する手段としてハイカラに輝いています。このマジカルな雰囲気を見るに旅人が異人というより村が異界なのかもしれません。2024/08/20
sayaka
0
4年生の女の子しずり、桜の花びらが散るある日、見たことのない女の子メイに会います。次の日、学校へ行くとメイは転校生で、村のはずれの乾燥場に住み始めた「旅のお方」だとわかります。まわりの子から遠巻きにされていた2人は心を通わせるようになりますが…。 ほんの1ヶ月ほどの間のおはなしだけれど、しずりにはかけがえのない春。おじいさんやおじさんなど魅力的な人たち、さわやかな読後感です。2024/08/13