内容説明
敗戦直後の混乱が生んだ海難事故の悲劇を乗りこえ、生きる力をとりもどす少年の物語。第20回日本絵本賞大賞受賞『ふしぎなともだち』『のら犬ボン』そして―淡路島を舞台に命を描く田島征彦の絵本。
著者等紹介
たじまゆきひこ[タジマユキヒコ]
田島征彦。1940年大阪府堺市生まれ。京都市立美術大学染織図案科卒業。絵本に、『祇園祭』(第6回ブラティスラヴァ世界絵本原画展金牌受賞)『じごくのそうべえ』(第1回絵本にっぽん賞受賞)(いずれも童心社)、『ふしぎなともだち』(第20回日本絵本賞大賞受賞)(くもん出版)など多数
きどうちよしみ[キドウチヨシミ]
木戸内福美。1940年兵庫県淡路島生まれ。この本だいすきの会会員。日本児童文学者協会会員。淡路保育問題研究会代表。子どもの頃の体験や、保育士としての経験をもとに書いた作品を発表している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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とよぽん
58
1945年12月9日午前9時15分ごろ、定員の3倍以上の人が乗った「せきれい丸」は明石に向けて出航したが、強風の影響で横倒しになり沈没した。ひろしは、戦争で父を、せきれい丸の事故で親友を喪う。生存者45名の一人ひろしは、漁師になるという夢をもち、強く生きる。絵の迫力と、人物の表情が読む者を圧倒する。「あれから 父さんは ずうっと 海の中や。」その父さんが、海に投げ出されたひろしに「生きろ」と活を入れた。2021/01/26
ちえ
37
終戦後、淡路島と明石を結ぶ連絡船せきれい丸に定員の3倍を超える人が載り起きた遭難事故。死者行方不明者304名、生存者45名、その一人大星資さんの体験をもとにした絵本。父親を戦争で亡くした少年、海難事故で助かったことが、よかったですまされない思い、亡くなった友人の父親との関わりの中で生きる方向を見つけていく姿。田島征彦さんの絵は力強く良い。2021/10/13
わむう
34
淡路島在住の田島征彦さんが、せきれい丸の生存者である大星さんと漁師の話を基に描いた絵本。淡路島から明石市を結ぶ連絡船「せきれい丸」。添乗人数の3倍以上の349人が乗船し強風に煽られて転覆をした。地元の漁師が救助にあたったが助かったのは45人だけ。自分が助かったことに罪悪感を感じ、苦しみながらも生きて前へと進むお話。2021/01/28
anne@灯れ松明の火
27
『ふしぎなともだち』『のら犬ボン』に続く、淡路島三部作の最終巻と知り、これは読まねばと思った。前2作も、切なく、考えさせられた作品だったが、今作は戦争がからんだ分、より深く重く響く。終戦間もない頃、多くの人の命を奪う転覆事故が起きた。戦争で父を亡くした「ひろし」は、この事故で友達「りゅうちゃん」も亡くす。しかも、りゅうちゃんの父親は、ひろしをりゅうちゃんだと思って助けてくれたのだ。事故の後のひろしの気持ちを思い、その行動に、胸が熱くなる。「生きる」ということを改めて考えさせられた。#NetGalleyJP2020/11/20
どあら
25
図書館で借りて読了。悲しい実話です…😔2021/12/07