出版社内容情報
日和の母・愛子は日和を愛していない。妹の紅子ばかりを溺愛している。そして父も、母も、紅子も、日和自身もその事実から目をそむけ、そのことについて皆口に出すこともできず日々を過ごすのだった。果たしてこの家族は再生することができるのか……。
内容説明
あたしは、まだ母に愛されたいと思っている。いつか母は、あたしを愛してくれると信じている。そんなことは無理だとわかっていても、あたしはあたしの深いところで、いまも願っている。
著者等紹介
いとうみく[イトウミク]
神奈川県生まれ。『糸子の体重計』(童心社)で日本児童文学者協会新人賞、『空へ』(小峰書店)で日本児童文芸家協会賞を受賞。全国児童文学同人誌連絡会「季節風」同人
酒井駒子[サカイコマコ]
兵庫県生まれ。絵本作家。『きつねのかみさま』(作:あまんきみこ、ポプラ社)で第9回日本絵本賞、『金曜日の砂糖ちゃん』(偕成社)で2005年ブラティスラバ世界絵本原画展金牌賞など国内外で受賞多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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mocha
108
読んでる間じゅう胸が痛くて、泣きながら読了。娘を愛せない母と、いつか必ず愛してくれると信じる娘。なぜ?虐待やネグレクトならまだわかりやすい気がする。次女を宝物のように可愛がる優しい母がどうして長女を同じように愛せないのか。カーネーションの花言葉は母への愛だけでなく、色によって軽蔑、拒絶、失望ともいうらしい。母も苦しいだろうけど、やはり愛情を与えられずに育つ子ほど悲しいものはない。辛いけど一気読みさせられる良本。2018/02/12
ちゃちゃ
100
これは児童文学の範疇に入る作品なのか。茫然とした想いで本を閉じた。家族であればともに暮らし、無条件で愛し理解し合えるはずだという思い込みが、時に“くびき”となって母子を苦しめる。母性神話の崩壊、家族の機能不全。そんなありがちで類型的な形容を使うことさえためらわれる。母に愛されたくて苦しむ娘、日和。その娘をどうしても愛せない母、愛子。愛せないことに理由は無く、物語は安易な解決へと導かれない。娘の立場、母親の立場で苦しむ人々の現実、いや真実の姿がここにある。その普遍的で真摯な筆致に畏敬の念さえ感じた。2018/07/26
はる
94
何て切ない。「車夫」のいとうみくさん。今作も痛々しいほど繊細な物語。母親に愛されない少女が主人公。母親もまた、娘を愛せないことに苦しむが…。少女の健気な想いがあまりに哀しい。母親の態度にゾワゾワしつつ、どういった結末になるかハラハラしました。安易なめでたしめでたしではないラスト。ある意味児童文学的ではないかもしれないけれど、敢えてそうした作者に誠実さを感じました。酒井駒子さんの装画が印象的です。2018/07/12
みーちゃん
81
母親に愛されたい中学生の日和と、娘を愛したい母親愛子を巡る想いのすれ違いを描いた話です。 自分の子を愛したいけど愛せないことは仕方の無いことなのかなと思いつつも、そんなことがあるのかがとても不思議に思いました。けれど、どんなに母親に好かれようと頑張ってもかえって鬱陶しがられたり妹を優先されられたりするのはとても辛いと思います。日和ちゃんに、ちゃんと頼れて助けてくれる仲間がいて良かったなと思います。すごく感動しました。2021/11/14
えりこんぐ
66
心が痛い。。自分の子供を愛せない母。なぜ愛せないか苦しいのはわかるけど、子供はそれの100倍は苦しんでる。ラストは落ち着くべきところに辿り着けた感じ。家族はこうしなきゃ、という正解はない。日和が壊れてしまう前に気づけて良かった。2018/11/14
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