内容説明
長崎県の対馬だけにすむツシマヤマネコ。生息数はわずか百頭、あるいは七十頭ともいわれていて、絶滅が心配されています。そこで、動物園など全国の十の施設が協力して、ツシマヤマネコをふやし、対馬の野生に返す取りくみが進められています。その拠点のひとつが、京都市動物園です。動物園の職員でさえ、かってに入ることができないとびらの奥でツシマヤマネコたちが暮らしています。子どもを産ませて、ふやそうとしているのです。ツシマヤマネコと飼育員・獣医師たちの繁殖に向けた奮闘ぶりを、はじめて紹介します。
目次
1 絶滅の危機にあるツシマヤマネコ
2 やってきた子ネコたち
3 繁殖事業の大ピンチ
4 期待されていないオス
5 ごめんね、メイ
6 ヤマネコのふるさと、対馬へ
7 新しい命
著者等紹介
キムファン[キムファン]
1960年京都市に生まれる。人と生き物の共生をテーマに創作活動に取り組み、日韓で著書多数。2006年に『サクラ―日本から韓国へと渡ったゾウたちの物語』(学研プラス)で、第一回子どものための感動ノンフィクション大賞最優秀作品。紙芝居『カヤネズミのおかあさん』(童心社)で、第54回五山賞受賞。『すばこ』(ほるぷ出版)が、第63回青少年読書感想文全国コンクール課題図書(小学校低学年)。日本児童文学者協会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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たまきら
39
うわあ、こりゃ大変だ!残り100頭前後のツシマヤマネコ。イリオモテヤマネコもそのぐらいと聞いています。動物園がこんなに苦労するのなら、大きい保護区を作れないのかなあ…。2023/03/14
kanata
19
児童書のコーナーより。長崎の対馬にしか生息せず、100頭を切るとされるツシマヤマネコ。日本で10もの動物園が繁殖協力をしていることを初めて知る。この本では、京都市動物園の数年にわたる取り組みを写真付きで報告。繁殖だけではなく来園者にヤマネコを知っていますか?と講演をしたり、全国会議に出席したり、やることは担当飼育員や獣医師それぞれにある。出産に万全の態勢を取るために、近くの獣医師たちに協力要請もする。ヤマネコについては新人飼育員・高木直子さんの奮闘ぶりと困難や喜びの感情がよく伝わってきた。2018/05/27
ぽけっとももんが
11
絶滅に瀕しているツシマヤマネコを繁殖させ、やがては対馬の自然に返そうというプログラム。まだ生態などわからないことも多い中、飼育員さんたちの苦労はいかばかりか。そしてついに二頭の赤ちゃんが生まれた。このツシマヤマネコの可愛らしいこと。対馬に行けば、こんなに可愛らしいツシマヤマネコに会えるよ、という未来が楽しみだ。2018/01/27
林芳
0
動物園は、小さい時か、子どもが小さい時に、動物が動くと歓声をあげて、それで行った、見たと完結していたけれど、実はもっともっと様々な取り組みが行われていることを知る。今度動物園へ行ったら、もっと隅々まで見なくちゃ。2022/09/02