内容説明
文字を持たない民族に生まれたなら、どんなによかっただろう。そこで、わたしは語り部になるのだ。闇を照らすたき火の前にあぐらをかき、肩から幾何学模様のショールをかけ、髪には鳥の羽を立てて、炎とともにかすかに体をゆらしながら、果てしない物語を一族郎党に語って聞かせるのだ。ディスレクシアの少女マホが太古の物語を紡ぎだす…
著者等紹介
今井恭子[イマイキョウコ]
広島県生まれ。上智大学外国語学部英語学科卒業。外資系企業に勤務する傍ら動物行動学に興味をもち、上智大学大学院でチンパンジーの石器使用行動を研究。理工学修士号取得。その後、文筆活動に入り、当初は一般向けの随筆、小説を執筆。現在は児童文学の世界で活躍
小倉マユコ[オグラマユコ]
神奈川県生まれ。会社員をする傍ら東京デザイン専門学校にてグラフィックデザイン、その後イラストレーションを学ぶ。2010年よりフリーのイラストレーターとして活動(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はる
43
ディスレクシア(読み書きの障害)の女の子が、絵描きの少年と出合ったことから成長していく物語。作家になりたいという夢を持ちながらも障害のせいで諦めなければならない。主人公の女の子の気持ちが切ないです。いつもイライラ、周りの人に当たってしまうのも無理ないかも。絵描きの少年が思ったよりもバカっぽい(笑)のが少し惜しいけれど、この後の素敵な未来を感じさせる終わり方は良かったです。2016/05/07
杏子
21
文字を認識できない発達障害、ディスレクシアの小6のマホが、古ぼけた博物館で出会ったちょっと美形の中学1年の正樹。正樹の方も自分の境遇にいろいろ悩みを抱える少年だった。似た者同士の二人がたまたま出会ったことで、奇跡のような物語が生まれた。まさに『丸天井の下の「ワーオ!」』だったわけだ。自分に限界を感じ、ダメだと思い込んでいるうちに夢はどんどん枯渇していってしまう。けれど、どんな困難な状況でも勇気を出して前を向いていけば、なくしかけた夢がもう一度命を吹き返すかもしれない。そんな希望をあたえてくれる本だった。2016/01/04
tan
19
児童書。なのであまり多くを求めてはいけないとは思いますが、可もなく不可もなく。登場人物があまりにも少なく関わりを持つのも主人公の二人だけ。話の内容はスケールがでかいわりに視野の狭い作品でした。中学年向きかと思いますがはたして子供たちが読んで面白かったと思ってくれるかどうか…。もっと登場人物に動きのある作品の方が良かったと思います。2017/09/05
はるき
17
学習障害を持つ女の子を主人公にした意欲作。活発でかしこい女の子なのに読み書きが困難という現実にいら立つ気持ちを正直に描いている。家族の支援はありがたいが、赤の他人に勇気づけられることって凄く大切だと思う。ふさぎ込んだ女の子の夢を男の子がぶっ飛ばした。好感の持てるストーリーだ。2015/10/06
みさどん
10
本題がおもしろそうで手にとったけれど、うーん。病気を軸にしてあるようだけれども、主張が貫いていない感じで、もやもやとした読後感。書くことへの障害というものがはっきりしてきていて、ずいぶん配慮がなされるようになってきた現代だとホッとする。出会った男の子も、何か悶々としたものを持っているのかと思っていた。2016/10/01
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