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出版社内容情報
ベートーベンやショパンが活躍したころにつくられ、今ではぼろぼろの、ミイラのようなピアノ。今再び命をふきこまれます。
【著者紹介】
愛媛県生まれ。一卵性の双子で、「佐和みずえ」は二人で共有するペンネーム。大学卒業後、劇画作者として執筆活動に入る。劇画の原作を書くかたわら、多くの少女小説や児童書を手がける。著書に『鷹匠は女子高生!』『走る動物病院』(ともに汐文社)、『草原の風の詩』(西村書店)などがある。
内容説明
二百年前のピアノは、今のピアノとはまったくべつの楽器―そのちがいは、馬車とスポーツカーにたとえられるほどです。二百年前といえば、ベートーベンやショパンの時代。ということは、かれらが作曲した楽曲を、当時の音で聞くことはもうできないのでしょうか?いいえ、できるのです。なぜなら、ぼろぼろになったピアノを、二百年前の姿にもどす人たちがいるからです。ピアノ修復家です。まるで、ミイラにふたたび命をふきこむようなその仕事ぶりを、追っていきましょう。
目次
1 ミイラピアノ到着―修復工房
2 工作少年
3 修業―二百年前のピアノとの出会い
4 修復開始!
5 ピアノが歩んだ道のり
6 修復終了
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
39
ベートーヴェン時代のピアノは80キロ程度しかなかった、と聞いて驚く。さぞ繊細で素朴な音だったのだろう。古楽器が好きな人は多いというが、この本を読んでなっとくできた。聴いた経験がないので、ぜひ一度聴いてみたい。さて、松尾さんの努力には頭が下がる。職人技というか、楽器修復そのものが芸術なのだと感じた。古い楽器がよみがえることは、時代の再現。まさに感動ものだろう。2017/02/01
杏子
14
二百年前の古いピアノを修復する、ピアノ修復家の松尾淳さんのことを書いたノンフィクション物。小さい頃から、手先が器用でなんでも作ってしまう工作少年だった松尾さんが、楽器製作の魅力に取り憑かれ、ついには古いピアノを修復する修復家になるまで…。細かい作業や仲間との助け合い、修復にかける情熱など、わかりやすい文章で描いています。子ども向けではあるけど、大人でも面白く読めます。これを読んで、子どもたちが手作りのよさ、手仕事の美しさについて考えてくれたら、という著者の思いも伝わってきました。2014/10/19
華形 満
10
ピアノ教習中の娘が図書館から借りて来たのを、私も読ませて貰った。とにかく主人公の松尾淳氏が凄い! ヨーロッパの古いピアノの修復という実に地味な仕事に見えて認知度は低い様だが、国宝の修復等の名工と同等に扱われてしかるべきだと思える。また、松尾氏はそもそもピアノではなくリュート作りからスタートしたというのが驚き。今、代表的なピアノの代名詞はスタインウェイだろうが、ベーゼンドルファーも忘れてはならない名器。こうした古いピアノをどう調律するのか?がとても気になった。2020/01/26
まげりん
10
200年前のピアノってどんな音するんだろ?小さい頃から刃物を使って工作していた少年がピアノ修復士になる。私大人は「危ない」の一言で、子供の可能性を奪っていないだろうか?と思った。2015/11/27
バジルの葉っぱ
6
松尾古楽器工房の松尾淳さんが1800年代のオーストリアのベルチェというピアノ(フォルテピアノかな?)を修復したときのことを取材して書かれたもの。松尾さんが製作するリュートやチェンバロやリコーダー、フィドル、ガンバなどの古楽器のこともちらりとでてきて古楽好きの私にとってはちょっとうれしかったです(わたし自身もチェンバロとリコーダーを演奏します)。はじめてこの本でこれらの古楽器にであった方々は、音が聴きたくなるんじゃないかな、と思いました。2016/03/11