内容説明
『アンネの日記』の作者アンネ・フランクに、自由への希望をあたえたマロニエの木が残した物語。
著者等紹介
コーエン=ジャンカ,イレーヌ[コーエンジャンカ,イレーヌ][Cohen‐Janca,Ir`ene]
1954年、チュニジア生まれ。児童文学作家。フランスで児童書を中心に著書多数
クゥアレーロ,マウリツィオ・A.C.[クゥアレーロ,マウリツィオA.C.][Quarello,Maurizio A.C.]
1974年、イタリア生まれ。画家。フランス、イタリアを中心に絵本著書多数
石津ちひろ[イシズチヒロ]
1953年、愛媛県生まれ。早稲田大学文学部仏文科卒業。翻訳家、絵本作家、詩人。『あしたうちにねこがくるの』(講談社)で日本絵本賞、『あしたのあたしはあたらしいあたし』(理論社)で三越左千夫少年詩賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Hideto-S@仮想書店 月舟書房
133
アムステルダム・プリンセンフラハト263番地。ここにかつて2年余りも隠れ住んだ一家がいた。外に出る事ができない13歳の少女は、小さな日記帳に日々の思いを書き綴った。数少ない慰めは、裏庭にあるマロニエの木だった。「わたしたちのマロニエの木も、すっかり緑があざやかになり、そこかしこに小さな花をつけ始めています」。春に咲く花をみて未来に想いを巡らせたアンネ・フランク。彼女に次の春は訪れず、マロニエの木は朽ちてしまったけど、そこから切り取られた3株の苗木はいま、日本で大切に育てられている。2010年12月初版。2016/05/14
財布にジャック
64
マロニエの木が語るんです。あのアンネ・フランクの隠れ家での出来事を歴史の証人のようにじっと眺めている木が語りかけてきます。「アンネの日記」の小説と同じように、いやむしろ絵がある分、よりいっそう胸に迫るものが見事にこの絵本の中にはありました。そして、さすが絵本だけあり、暗いだけではなく希望の持てるラストで良かったです。2011/08/06
とよぽん
32
アンネの約2年間に及ぶ隠れ家生活を、窓の外から見てきたマロニエの木。その木が語るアンネの物語、という構想だ。外出や買い物、行動の自由が次第に制限され、禁止され、ついにユダヤ人は「存在してはならない」と。いつかオランダに行ってアンネの隠れ家を訪ねたいと思っているが、この木はもう朽ちて倒れてしまった。その苗木が日本にも贈られたそうだ。2019/03/21
Cinejazz
23
アムステルダム市プリンセンフラハト263番地。ここで“隠れ家”生活を送っていた13歳の少女アンネ・フランクが、屋根裏の窓から見つめた、一本のマロニエの木。 一家がドイツ軍により強制収容所に連行された後も、このマロニエの木は2010年の台風で倒れるまで立ち続けていた・・・。 その苗木が、自由と平和のシンボルとして、世界中の平和祈念館に贈られ、あらたな命を育んでいる。〝 私はいま、この世界が荒れ果てた場所へと変わっていく様子を、この目で見ています...何百万人もの人たちが苦しんでいるのを、肌で感じ↓2025/01/01
けんちゃん
23
読友さんのご紹介本。アンネの隠れ家で、すべてを見てきたマロニエの木が語ります。自らが朽ちてゆく前に語り継がなくては、と語るマロニエは、戦争や被爆の体験を語り継ごうとしている方々に重なります。死力をふりしぼり語られる話は重く、つらく、恐ろしく…でも聞いたものはしっかり受け止めなくてはいけない。そして話の底に流れる大事なものを、また別の世代に伝えていかなくてはいけないのですね。このマロニエの子孫は数ヶ所に息づいているとのこと、救いです。このマロニエたちには、悲しみではなく喜びを感じて欲しいものです。2011/04/19