内容説明
江戸時代の終わりごろ―。千太郎は、わずか七歳で、奉公に出されることになった。奉公先は、鶴見村(いまの神奈川県横浜市鶴見区)の建具屋「建喜」。まだ、友だちと遊んでいたいさかりの、千太郎には、建具職人になろうだなんて気は、さらさらない。だが、先に奉公にきていた姉、おこうにはげまされたり、建喜の職人たちとのふれあいのなかで、いつしか自分も、腕のよい建具職人になりたい、と思うようになる。
著者等紹介
岩崎京子[イワサキキョウコ]
1922年(大正11年)、東京に生まれる。恵泉女学園普通部・高等部卒業。与田凖一に師事し、児童文学の創作をおこなう。1959年(昭和34年)、短編『さぎ』で日本児童文学者協会新人賞を受賞。主な作品に、『鯉のいる村』(新日本出版社/野間児童文芸賞・芸術選奨文部大臣賞)、『花咲か』(偕成社/日本児童文学者協会賞/石風社より復刊)などがある。日本児童文学者協会会員
田代三善[タシロサンゼン]
1922年(大正11年)、東京に生まれる。日本美術家連盟、日本児童出版美術家連盟会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぶち
96
生麦村の百姓の子・千太郎は7歳という幼さで、建具屋に奉公に出されます。そこには、実の姉のおこうが、女中として先に奉公にあがっていました。姉のおこうの励ましや、兄弟子達の指導で、いつしか千太郎も腕の良い職人になりたいと思うようになりました。"おらあぶきだ。のろまでよう。でも、ぶきだけんどぶきなりに、たんせいこめりゃいいんだ。" 子供とは思えないほどの達観です。感心しちゃいます。その他の人達も、それぞれの立場で懸命に生きています。そんな姿に拍手です。職人技のエピソードも随所にあって、大人でも楽しめます。2020/04/23
ベーグルグル (感想、本登録のみ)
48
昨年、組子細工をしたので、タイトルに惹かれて手に取ってみた。江戸時代に建具職人の元に7歳で奉公に行った千太郎と姉のおこうの物語。粋な江戸言葉と建具の情景がとても良かったです。建具の作り方を詳しく分からないので、文章だけで思い描けない所もあり、挿絵がもう少しあったらより楽しめたかも。百太郎という実在モデルがいたとの事。2020/02/08
takaC
29
当時の日常をさりげなく紹介しながらこども(千太郎)の成長を描いている構成ですが、物語の起伏があまりないまま終わってしまうので、感動とか残念とかの感情には直結しなかった。「これが課題図書とは現代の子供も大変だな」、なんて思ってみたりもした。2011/09/20
糸車
27
1月の子どもの本の課題本。幼い子を容赦なく口減らしの為に建具屋へ奉公へ出す父。姉のおこう9歳、少し年を開けて弟の千太郎7歳も。不器用でおどおどしていて、でも一生懸命な千太郎が頑張っている様をきちんと見守る大人たちの存在がありがたい。登場人物がそれぞれの個性を生かしているのがいい。千太郎にカンナを教えてくれる秋次を見直したおこうが怖い気持ちを押し殺してやくざの使いに対峙する場面に感動。贅沢を言わせて貰えば、もっとページ数が欲しかった。おこうと秋次がほんとに夫婦になるのかとか(笑)、物足りない感じは否めない。2017/01/20
jima
20
小学校高学年向け。江戸時代、建具屋に奉公に出された姉のおこうと7才の千太郎。成長していく千太郎が微笑ましい。2013/12/11