内容説明
「焼き物の技術を学びたい」という、父の夢に引きずられ、父とともに日本から宋へと渡った少年、希龍。苦難の道程をへて、焼き物の地、龍泉にたどりついた二人の前に、まるで丘をはう龍のような、巨大な登り窯が現れた…。戦乱激しい南宋時代末期を舞台に、陶工として、焼き物作りに身を投じる少年、希龍の命の物語。
著者等紹介
中川なをみ[ナカガワナオミ]
山梨県生まれ。日本児童文学者協会所属。著書に『水底の棺』(第43回日本児童文学者協会賞受賞、くもん出版)などがある
林喜美子[ハヤシキミコ]
愛知県生まれ。現代工芸美術家協会本会員。林喜美子布絵研究所主宰。日展工芸部門7回入選、仏サロン・ドトンヌ7回入選をはじめ、読売新聞主催他、個展13回開催。「銀座まつり」のポスター等も手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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izw
5
鎌倉に幕府が開かれて70年。焼き物の技術を修得したいという父の夢に引きずられて宋に渡った少年、希龍。龍泉の窯元に頼んだところ子どもでないと焼き物の技術は身につけられないと言われ、一人残され、陶工への長い道のりが始まる。一人前になった頃には、宋が元に滅ぼされようしている時代、元寇との関わりもあり、壮絶な時代を生き抜いた少年の物語。息もつがせない展開で、一気に読み終えてしまった。2018/08/26
菱沼
1
知らなかったことがたくさんわかった。でも、この作者にいつも思うのが「ちょっと駆け足」「ちょっと足りない」。タイトルと中身の共鳴も弱い感じがする。龍の腹という言葉で、希龍は何を伝えたかったのか。巧みに書けてしまう作者だから、詰めて、詰めて、密度を濃くして欲しいと思った。 今まで読んだこの作者の作品は、すべていい夫婦の物語だった。面白かった。2020/05/30
詠月
1
文章があっちにこっちに散らばってしまっている気が。時間も急に飛んでしまっていて、内面性も急に成長していますし。主人公の職人としての心意気をもっと感じたかったです。謎の村と、末端の職人・生産者の置かれている実情の相関性を生かしきれてないと思います。いい話なのですが、足りないお話。2013/05/11
にしき よう
1
ある人から『水底の棺』よりよかったと紹介されたのだけれど、私は『水底』のほうがよかったかな。いろんなことが詰め込んであるのだけれど、なんだかあらすじ的で、心に響くものが少なかった気がするのが残念。2010/06/04
Sophia5964
0
1人の日本人が陶芸家として中国で成長していく物語。主人公の焼き物にかける情熱と壮大な旅との関係性にやや掛け離れた感はあったが、陶芸や中国史に詳しくない読者にも親しみやすく読みやすい本。2017/02/09